ピルの服用を検討されている方にとって、いつから飲み始めるべきかは、重要な問題です。
ピルには複数の種類があり、それぞれ特徴や効果が異なります。
また、服用を開始するタイミングや方法により、効果が現れる期間も変わってきます。
本記事では、ピルの種類や特徴、適切な飲み始めのタイミング、効果が現れるまでの期間について詳しく解説します。
正しい知識を身につけて、安全で効果的なピル服用を始めましょう。
ピルの種類とその特徴
ピルは配合されているホルモンの種類や含有量によって世代別に分類されます。
現在使用されているピルは主に第一世代から第三世代までの3つに分けられ、それぞれ異なる特徴を持っています。
第一世代
第一世代は1960年代に開発され、現在でも広く使われているピルです。
プロゲスチン(合成黄体ホルモン)のひとつ、ノルエチステロンが配合されています。
第一世代ピルは、月経量を減らす効果に優れています。
そのため、月経過多や月経困難症の治療に適しています。
また、比較的副作用が少なく、長期間の服用にも向いているでしょう。
一方で、他の世代のピルと比較すると、ニキビや体重増加などの男性化症状が現れやすい傾向があります。
これは、配合されているプロゲスチンが男性ホルモン様作用を持つことが影響しています。
第二世代
第二世代のピルは、1970年代に開発されており、現在最も多く処方されているピルです。
プロゲスチンとしてレボノルゲストレルが配合されています。
第二世代ピルの大きな特徴は、優れた避妊効果です。
正しく服用すれば、99%以上の高い避妊効果が得られます。
また、月経周期を安定させる効果も高く、不正出血が起こりにくいとされています。
しかし、第一世代と同様に男性ホルモン様作用があるため、ニキビや体重増加、体毛の増加などの副作用が現れる可能性があります。
特に美容面への影響が気になる方は、注意しましょう。
第三世代
第三世代のピルは、1980年代に開発されており、比較的新しいタイプのピルです。
プロゲスチンとしてデソゲストレルやゲストデンが配合されています。
第三世代ピルの特徴は、男性ホルモン様作用が少ないことです。
第一世代や第二世代で起こりやすい、ニキビや体重増加などの副作用が起こりにくく、美容面での影響を抑えることができます。
また、皮脂分泌を抑える作用により、肌荒れの改善も期待できます。
一方で、第一世代や第二世代と比較すると、血栓症のリスクがわずかに高いとされています。
特に喫煙者や高血圧の方は、必ず医師に相談しましょう。
ピルを飲み始める方法
ピルの服用開始には、主に2つの方法があります。
どちらの方法を選ぶかは、個人の生活スタイルや医師の指導によって決まります。
Day1スタート
Day1スタートは、月経開始日(生理1日目)からピルの服用を開始する方法です。
最も一般的で推奨される服用開始方法です。
Day1スタートのメリットは、服用開始初日から確実な避妊効果が期待できることです。
月経開始日からホルモンバランスをコントロールできるため、自然な月経周期に近い状態でピルの効果を得られます。
また、服用開始のタイミングが分かりやすく、医師の指導も受けやすいという利点もあります。
初めてピルを服用する方にとって、安全で確実な方法といえるでしょう。
ただし、月経開始日を正確に把握する必要があるため、不規則な月経周期の方は医師との相談が重要です。
Sundayスタート
Sundayスタートは、月経開始後の最初の日曜日からピルの服用を開始する方法です。
アメリカでは一般的な方法ですが、日本ではあまり普及していません。
Sundayスタートのメリットは、服用スケジュールが管理しやすいことです。
毎週日曜日に新しいシートを開始するため、飲み忘れのリスクを軽減しやすくなります。
また、週末に月経が来ることを避けやすいという利点もあります。
一方で、服用開始から7日間は避妊効果が不十分である可能性があります。
そのため、この期間中は他の避妊方法を併用する必要があります。
また、月経開始日と服用開始日にズレが生じるため、初期の不正出血が起こりやすい点にも注意が必要です。
ピルを飲むのに適したタイミング
ピルの効果を十分に発揮させるためには、適したタイミングで服用することが重要です。
服用時間を整えることで、避妊効果を安定させ、副作用を軽減できます。
ピルは「毎日同じ時間」に服用することが基本です。
24時間間隔で服用すると、血中ホルモン濃度を一定に保てるでしょう。
服用時間がずれると、ホルモンバランスが不安定になり、不正出血や避妊効果の低下を招く可能性があります。
服用に適した時間帯としては、就寝前やもしくは朝が推奨されています。
就寝前に服用する場合、副作用である吐き気を睡眠中に軽減できるというメリットがあります。
朝の服用の場合、生活リズムに組み込みやすく、飲み忘れを防ぎやすいという利点があります。
また、食事のタイミングとの関連も考慮しましょう。
空腹時の服用は胃腸に負担がかかることがあるため、食後の服用が望ましいとされています。
服用時間を変更する場合は、段階的に調整することが重要です。
急激な時間変更は、ホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があるため、医師に相談したうえで変更するようにしましょう。
ピルの効果と効果が出るまでの期間
ピルには避妊効果以外にも様々な効果があります。
それぞれの効果が現れる期間は異なるため、正しく理解しておきましょう。
避妊効果
避妊効果は、ピルの最も重要な効果です。
Day1スタートの場合、月経開始日からホルモンバランスをコントロールできるため、服用開始初日から避妊効果が期待できます。
一方でSundayスタートの場合、確実な避妊効果が得られるまでに7日間程度必要です。効果が現れるまでの期間は、コンドームなどの他の避妊方法を併用する必要があります。
ピルは非常に高い避妊率を誇り、正しく服用すれば99%以上の確率で妊娠を防げます。
ただし、飲み忘れや下痢・嘔吐によって効果が減少する可能性があるため、注意が必要です。
肌荒れ・ニキビなどの改善効果
ピルの美容効果は、多くの女性が期待する効果です。
特に第三世代のピルは、男性ホルモン様作用が少ないため、肌荒れやニキビの改善効果が期待できます。
肌荒れの改善効果が現れるまでの期間は、通常2〜3ヶ月程度です。
これは、肌のターンオーバーサイクルが約28日であることと関連しています。
実際に効果を実感するまで肌のターンオーバーが繰り返されることで、徐々に効果が現れます。
また、ピルに含まれるエストロゲンは、皮脂分泌を抑制し、肌の水分バランスを整える効果があります。
プロゲスチンの男性ホルモン様作用を抑制することで、ニキビの原因となる皮脂過剰分泌を防いでくれるでしょう。
ただし、すべての人に同じ効果が現れるわけではありません。
個人差があるため、効果が現れない場合は医師に相談することが重要です。
生理による不調の改善効果
ピルは、月経困難症や月経前症候群(PMS)などの生理による不調の改善にも効果があります。
これらの効果は、比較的早期に現れることが多いです。
月経困難症の改善効果は、通常1〜2周期目から現れ始めます。
ピルによってホルモンバランスが安定することで、月経痛の原因となるプロスタグランジンの分泌が抑制されます。
PMSの改善効果も、1〜2周期目から実感できることが多いです。
ピルを継続して服用することで、月経前のホルモン変動が抑えられ、イライラや気分の落ち込み、むくみなどの不調が軽減します。
月経過多の改善効果に関しては、第一世代のピルで特に顕著です。
月経量の減少効果は、通常2〜3周期目から感じられるでしょう。
ピルの正しい飲み方
ピルの効果を最大限に発揮させるためには、正しい飲み方を理解し、継続することが重要です。
間違った服用方法は、避妊効果の低下や副作用の増加につながる可能性があります。
生理初日から服用を始める
最も推奨される服用開始方法は、月経開始日(生理1日目)からの服用です。
月経開始日からの服用で、初日から確実な避妊効果を得ることができます。
月経開始日の判定は、通常の月経量の出血が始まった日を基準とします。
軽い出血や茶色いおりものの段階では、まだ月経開始日とは判定しません。
生理周期が不規則な方は、医師と相談の上で服用開始日を決めましょう。
場合によっては、妊娠検査薬での確認が必要な場合もあります。
また、初回服用時は、医師の診察を受けてから、開始することをおすすめします。
血圧測定や既往歴の確認など、安全性の評価を行った上で処方してもらえるでしょう。
1日1錠を28日または21日連続で服用する
ピルには、28錠タイプと21錠タイプがあります。
28錠タイプの場合、毎日1錠を28日間連続で服用し、新しいシートに移行します。
一方で、21錠タイプの場合は、21日間服用後に7日間の休薬期間が設けられている点が大きな違いです。
ただし、28錠タイプの場合、最後の7錠はプラセボ錠(偽薬)であることが多く、ホルモンは含まれていません。
この期間中に月経様出血が起こります。
プラセボ錠も毎日服用することで、服用習慣を維持できるでしょう。
21錠タイプの場合、休薬期間中に月経様出血が起こります。
休薬期間は正確に7日間とし、8日目からは必ず新しいシートを開始します。
どちらのタイプも、シートに記載された順番通りに服用することが重要です。
錠剤の順番を間違えると、ホルモンバランスが乱れる可能性があります。
できるだけ決まった時間に服用する
ピルの効果を安定させるためには、毎日同じ時間に服用することが何よりも大切です。
24時間間隔で服用することで、血中ホルモン濃度を一定に保つことができます。
服用時間の許容範囲は、通常±3時間程度とされています。
この範囲内であれば、避妊効果に大きな影響はありません。
服用時間を忘れがちな方は、スマートフォンのアラーム機能を活用することをお勧めします。
また、歯磨きの後や就寝前など、日常生活の決まった行動と組み合わせることで、服用習慣を身につけやすくなります。
時差のある地域への旅行時は、現地時間に合わせて服用時間を調整しましょう。
ピルを飲み忘れた際の対処法
ピルの飲み忘れは、避妊効果の低下や不正出血の原因となります。
飲み忘れに気づいた場合は、自己判断せず、医師に相談しましょう。
1日飲み忘れた際の対処法
1日の飲み忘れに気づいた場合は、気づいた時点ですぐに忘れた分を服用するのが一般的です。
その後、通常の服用時間に当日分を服用します。
つまり、1日に2錠服用することになります。
この対処法により、避妊効果への影響を最小限に抑えることができます。
ただし、2錠を同時に服用することで、一時的に副作用が強く現れる可能性があるため、体調の変化には注意しましょう。
1日の飲み忘れであれば、追加の避妊方法は通常必要ありません。
しかし、飲み忘れが服用初期や休薬期間前後の場合は、7日間の追加避妊が推奨される場合があります。
24時間以上飲み忘れた場合は、2日分の飲み忘れとして対処します。
2日飲み忘れた際の対処法
2日連続で飲み忘れた場合は、気づいた時点で2錠を服用し、翌日も2錠服用します。
その後は、通常通り1日1錠の服用を続けましょう。
2日の飲み忘れは、避妊効果に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、飲み忘れ発覚後7日間は、コンドームなどの追加避妊方法を併用することが推奨されます。
また、不正出血が起こる可能性も高くなります。
これは、ホルモンバランスの急激な変化によるものであり、通常は一時的な症状です。
2日の飲み忘れが月経周期の後半(第3週)に起こった場合は、特に注意が必要です。
この場合は、現在のシートを中止して新しいシートを開始するか、すぐに医師に相談するようにしましょう。
3日以上飲み忘れた際の対処法
3日以上の飲み忘れは、避妊効果の大幅な低下を意味します。
現在のシートの服用を中止し、月経様出血を待って新しいシートを開始することが一般的です。
3日以上の飲み忘れでは、排卵が起こる可能性があります。
そのため、飲み忘れ期間中に性交渉があった場合は、妊娠の可能性を考慮する必要があります。
新しいシートを開始するまでの期間と、開始後7日間は、必ず他の避妊方法を使用します。
この期間中の避妊効果は不十分であるため、注意が必要です。
3日以上の飲み忘れが発生した場合は、すぐに医師に相談しましょう。
個人の状況に応じて、適した対処法を指導してもらえます。
ピルを飲み始めた際に注意したい副作用
ピルの服用開始時には、様々な副作用が現れる可能性があります。
多くの症状は一時的ですが、正しく理解しておくことが大切です。
・吐き気
服用開始初期に最も多く見られる副作用は、吐き気です。
これは、エストロゲンの影響により胃腸の働きが変化することが原因です。
通常は1〜2ヶ月で改善しますが、症状が強い場合は食後の服用や就寝前の服用が推奨されます。
・頭痛
頭痛も比較的多く見られる副作用です。
軽度の頭痛であれば、水分補給や十分な休息により改善することが多いです。
しかし、激しい頭痛や持続的な頭痛がある場合は、医師に相談しましょう。
・乳房の変化
乳房の張りや痛みも、服用初期によく見られる症状です。
これは、ホルモンバランスの変化により乳腺組織が影響を受けることが原因で起こります。
通常は2〜3ヶ月で改善しますが、無理のない適したサイズの下着を着用することで症状を軽減できます。
・不正出血
服用開始初期に起こりやすい副作用です。
これは、ホルモンバランスの調整過程で起こる現象であり、通常は3〜6ヶ月で安定します。
ただし、大量の出血や長期間の出血がある場合は、医師の診察を受けることが必要です。
・体重の変化
わずかな体重増加が見られることがありますが、これは主に水分貯留によるものです。
極端な体重変化がある場合は、医師に相談することをおすすめします。
・血栓症
最も注意すべき副作用は血栓症です。
頻度は稀ですが、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
脚の痛みや腫れ、息切れ、胸痛などの症状がある場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。
正しくピルを服用して快適な毎日を過ごそう
ピルの服用は、適切な知識と医師の指導の元で行うことが重要です。
ピルには第一世代から第三世代まで様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
自分の体調や生活習慣、ピルに期待する効果を踏まえて、適したピルや服用方法を検討しましょう。
また、飲み忘れた際の対処法や副作用の種類なども理解しておくことで、無理なく安全な服用が続けられます。
まずは医師に相談し、自分に適したピルを選択しましょう。
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