子宮頸がん

子宮頸がんとは

「子宮頸部」は、子宮の出口にある、筒状の部分のことです。
子宮頸がんとは、ここにがんが生じるがん疾患です。

観察・検査しやすいがんですので、早めに見つかると治療がスムーズに進みやすくなるので、良い結果を得られやすくなります。
ただし悪化すると治療が困難になるので、早期発見に努めることが重要です。

子宮頸がんの発症リスクを高める要素としては、喫煙、そして性行為を介して感染するヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が挙げられます。

実際に、90%以上の子宮頚がんの患者様からHPVが見つけ出されたと報告されています。

国立がん研究センターによると、2018年の子宮頸がんの推定新規罹患者数は10,908人でした。がん全体の新規罹患数の約2.8%を占めています。

2019年の年間死亡者数は推計値で2,666人でした。がん全体の死亡数の約1.5%を占めています。

子宮頸がんは女性に多いがん種の一つですが、予防ワクチンの接種や定期的な検診を受けることで、予防や早期発見が可能ながんとされています。近年は罹患数、死亡者数ともに減少傾向にあります。

早期発見と適切な治療が重要視されており、症状が現れた場合には速やかに医療機関を受診をしましょう。

子宮頸がんの原因

診察室子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma Virus)の感染によって起こると判明されるようになりました。

これは、性交渉の経験のある方でしたら、誰でも感染しうるウイルスです。
とはいえ、ほとんどの健康な方でしたら、ご自身の免疫力でウイルスを排除できます。

しかし感染した方の約10%の方は、感染が長引いてしまい、がんの前の段階である「子宮頸部異形成」に至ってしまうのです。

さらに、その中の一部の方が、高度異形成を経て子宮頸がんに移行するとされています。

子宮頸がんの早期発見

子宮頸がんの検診には、主に細胞診と HPV 検査の2種類があります。

細胞診は、子宮頸部の細胞を採取し、がん細胞や前がん病変の有無を顕微鏡で観察します。
HPV検査は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染の有無を調べます。

これらの検査により、がんが発症する前の段階から異常を発見できる可能性があります。
発見次第、追加検査や治療が可能になるため、検診を定期的に受けることが早期発見につながります。

日本では2年に1度の検診が推奨されていますが、受診率は決して高くありません。
がんの怖さや治療の大変さを考えると、検診を受けることで、がんのリスクを大幅に下げられることがわかります。

早期発見、早期治療が何よりも重要なのです。

子宮頸がんの前がん病変

子宮頸部異形成(CIN)は、子宮頸部にHPVが持続的に感染することで発症します。

子宮頸部の上皮に異形成が認められる段階です。
正常ではない細胞が発生・増殖するため、「子宮頸がんの前がん状態」とも呼べます。

子宮頸部異形成には

  • 軽度異形成(CIN1)
  • 中等度異形成(CIN2)
  • 高度異形成・上皮内がん(CIN3)

の3つの段階があります。

軽度~中等度異形成(CIN1~CIN2)では定期的なコルポスコピー検査が必要になりますが、高度異形成・上皮内がん(CIN3)では円錐切除術などの手術が必要になります。

子宮頸部異形成

子宮頸がんの検査

子宮頸がん検診

早期の子宮頸がん、子宮頸部異形成を調べます。 柔らかい器具を使って子宮頸部の粘膜を優しく擦り、細胞を採取します。

子宮頸がん検診

HPV検査

HPV(ヒトパピローマウイルス)には200種以上の遺伝子型が存在しています。

子宮頸がんを発症するタイプで多いのはHPV16型が半数を占め、次にHPV18型が20%程度を占めます。

HPV

コルポスコピー検査

コルポカメラコルポスコープ(拡大鏡)を用いた組織診(生検)を行う検査です。

腟の中に腟鏡を入れて、薬液(酢酸)で観察しやすい状態にしてから、コルポスコープを使って子宮頸部を観察していきます。

異形成があると疑われる部位は、色調が通常と比べて変化します。この部分から数mmの組織を採取します。

採取した組織は病理検査(顕微鏡を使った検査)に提出します。
2週間程度で結果が出るので、そのタイミングで確定診断をお知らせします。

検査にかかる時間は5分程度です。

コルポスコピー検査

高度異形成・上皮内がん(CIIN3)の手術

  • 高度異形成・上皮内がん(CIN3)と診断された場合には円錐切除術が第一選択になります。
  • その他の手術としては子宮頸部レーザー蒸散術があります。

円錐切除術では病変部の確実な切除、及び、病理組織診断による正確な診断が可能であるといったメリットがありますが、子宮頸管狭窄の可能性や妊娠時の流産、早産のリスクが上昇するというデメリットが存在します。

子宮頸部レーザー蒸散術では円錐切除術で見られるようなリスクはほぼ有りませんが、病理組織診断ができないことや再発が円錐切除術よりも高いことがデメリットとして上げられます。

当院では子宮頸部円錐切除術(LEEP)と子宮頸部レーザー蒸散術が日帰りで手術できます。

レーザー蒸散術
円錐切除術(LEEP)

子宮頸がんワクチン

予防接種の種類

サーバリックス

16型・18型の感染を予防する2価ワクチン

ガーダシル

16型・18型・6型・11型の感染を予防する4価ワクチン

シルガード9

16型・18型・6型・11型・31型・33型・45型・52型・58型の感染を予防する9価ワクチン

HPVワクチン

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