ミレーナ

ミレーナ(避妊リング)とは

ミレーナ(避妊リング)とは黄体ホルモンである「レボノルゲストレル」が添加されている避妊リングです。子宮の中へ入れると、持続的にホルモンが出てきます。この働きにより高い避妊効果と、挿入後の5年間にわたる避妊効果を得ることができます。
また「生理痛が重い」「経血の量が多い」といった症状の緩和にも有効です。ピルと違って、毎日飲み続ける手間もかかりません。レボノルゲストレルの作用により子宮内膜が薄くなり、約20%のかたは生理がこなくなります。
ミレーナを抜くと元の身体へ戻るので、妊娠も可能になりますが、吐き気や食欲不振などのつわりの症状が出ている場合には妊娠の確認が必要です。
ミレーナは生理の初日〜7日目までの間に挿入します。生理の量が多い方はミレーナが脱落してしまう危険性もあるので、生理の後半に挿入します。

ミレーナとピルの違い

ピルと比べて避妊失敗率が低く、かつ副作用も少ないとされています。避妊リングは子宮の周りのみに影響を与えるので、血栓症などのリスクも伴いません。
ピルと違って、毎日服用の管理を行う必要もありません。
40歳以上の方やピルが飲めない喫煙者、ピルの副作用が重かった方にも使用できます。

ミレーナの使用をおすすめする方

  • 生理痛が重い方(月経困難症)
  • 経血の量が多い方(過多月経)
  • 妊娠を希望されない方
  • 次の出産まで期間を設けたい方
  • 子宮腺筋症や子宮内膜増殖症(単純型)の診断を受けた方
  • 経膣分娩の経験がある方

※ミレーナは特に、子宮腺筋症の治療に有効だと言われています。

以下のような、ピルが飲めない方にもお勧めできます

  • 30代後半~40代以上の方
  • ピルを飲んだが副作用が出てしまった方
  • 喫煙者
  • 血栓症リスクが高い方
  • BMIが30以上の方
  • 高血圧症の方

ミレーナの使用をおすすめできない方

  • ミレーナの成分に対して過敏に反応する
  • 生理日以外でも性器からの出血が起こっている
  • 子宮内膜炎や卵管炎などの感染症がある
  • 子宮頸管炎・膣炎を発症したことがある
  • 3カ月以内に性感染症に感染した
  • 3カ月以内に分娩後子宮内膜炎・感染性流産になった
  • 骨盤内炎症性疾患を発症したことがある
  • 子宮口拡張によって強い痛み・徐脈を起こしたことがある
  • 重篤な肝障害・肝腫瘍がある
  • 子宮腔の先天的異常が見られる
  • 子宮の位置や方向に異常がある
  • 子宮外妊娠になったことがある
  • 現在妊娠中の方、もしくは妊娠している可能性がある方

ミレーナに期待できる効果

診察室体内に入れると最長5年間、効果を発揮し続けてくれます。また、その効果の高さは、ピルよりも高いと言われています。
レボノルゲストレルは子宮内膜の増殖を抑える働きを持つので、経血量も減少します。
また、ミレーナの成分は子宮内膜だけに働きかけるので、全身に影響を与えることはありません。
そのため吐き気・血栓症などの副作用も起こりません。月経困難症や過多月経だけでなく、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症による重い生理痛にも有効です。

過多月経・器質性月経困難症の治療にも有効です

体内に入れると子宮内膜の増殖が抑えられるので、子宮内膜が薄くなります。
この効果により経血量が減り、生理の期間も楽に過ごせます。
避妊を目的としたミレーナの使用は自費診療の対象となりますが、過多月経・器質性月経困難症などの治療で用いる場合は、健康保険の対象となります。

ミレーナ使用のメリットと副作用

メリット

笑顔の女性黄体ホルモンが出続けるので、子宮内膜の増殖が抑制され、経血量も減少できます。生理の回数も減るので、楽に生理期間を過ごすことができます。
約10%の確率で生理が来なくなるのですが、「生理が来ない=妊娠した、閉経した」というわけではありません。
再び妊娠を希望する際は、挿入を止めると妊娠できる状態に戻ります。

副作用

起こる可能性がある副作用

腹痛や性器出血(生理ではない)、月経周期が変動する、経血が出る期間が延びる

重篤な副作用

挿入時の子宮の穿孔(小さな穴があくこと)、卵巣のう腫茎捻転、骨盤内炎症疾患(PID)、異所性妊娠(子宮外妊娠)

後日現れる可能性がある症状

挿入数日後に現れる可能性がある症状

おりもの、不正出血、下腹部痛、腰痛

挿入後3~6カ月後に現れる可能性がある症状

生理時以外の少量出血
未破裂卵胞による卵巣の腫大
症状の内容は患者様によって違いますが、時間の経過と共に消失していきますのでご安心ください。

 

ミレーナ使用の注意点

不正出血

生理ナプキンミレーナ挿入後の数ヶ月は不正出血がみられやすくなります。通常は時間の経過とともに減少していきます。



脱出

内診室ミレーナ(避妊リング)の脱出には要注意です。「気付いたら脱出していた」とならないよう、定期的に検診を受け、正しい位置に付いているのかを調べましょう。
検診のタイミングは、挿入から1カ月後と3カ月後、6カ月後、1年後に行います。
それ以降は、1年に1回の頻度で行います。装着してから1年経過するまでの期間の脱出率は、たったの1.5%だと報告されています。

挿入の注意

診察通常、挿入は生理中に行います。ただし挿入時には、痛みが生じる可能性があります。
痛みに自信がない方は麻酔下での挿入もできますのでご相談ください。


ミレーナの挿入を検討するべき例

子宮腺筋症

月経困難症を解消させるためにミレーナを挿入する場合、子宮筋層厚が5cm以上あると効果が得られにくいと言われています。そうでない方よりも脱出しやすくなるので、この場合は慎重にミレーナの使用を検討します。

子宮筋腫

2.5cm以上の子宮筋腫がある場合も、脱出しやすくなります。筋腫が子宮内膜付近にできている場合は、不正出血が持続する可能性もあるので、脱出リスクも上昇します。

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