月経困難症
生理には時に、痛みが現れることもあります。
しかし「痛み止めを服用しているのに治らない」「仕事(または勉強)ができないほど痛む」「年を重ねる度に生理の痛みがひどくなっている」など、日常生活に悪影響を及ぼすほどの痛みがある場合は、「月経困難症」の診断が下されます。
毎月の生理による不調でお困りの際は、当院へご相談ください。
生理不順
生理の初日から、次の生理の初日までの期間を生理周期と呼びます。、生理不順とは、生理周期が24日以下になる、または38日以上にまで長引く状態です。
また、3カ月以上生理が来ない状態は「無月経」と呼びます。
初潮(初めての生理)を迎えてから不順になったり不規則になったりするのは、そう珍しいことではありません。数年のうちに、少しずつ規則的になります。
今まで規則的に来ていた生理が乱れた場合、その原因の多くは、過労や睡眠不足、ストレス、過度な運動、ダイエットによるものです。
しかし不順が長引いている場合や、長年生理が不規則だった場合は、卵巣機能の疾患や他疾患が疑われます。
また、何らかの疾患が見られない場合でも、大きな予定が組みにくい、体調管理が難しくなる、排卵のタイミングが掴めないといった問題が生まれます。
お悩みの内容に寄り添いながら治療を提案していきますので、お気軽にご相談ください。
生理不順の検査について
必要に応じて、超音波検査と採血(ホルモン検査)を実施します。採血は、正確な検査結果が得られるよう、生理から2日目~5日目の間に受けていただくよう定めています。
先に問診と超音波を受けていただき、生理日になってから採血を受けに来院される方も多くいらっしゃいますので、ご安心ください。
思春期の相談
思春期は成人になるための重要な時期です。 生理が始まったばかりの数年は、生理周期が乱れやすいのですが、成長とともに安定していきます。
しかしホルモンの変動も大きく、排卵もうまくいくわけではないので、出血が止まらない、生理痛などといった生理時の不調も現れやすい時期でもあります。
生理で何かを諦めたり、登校できずに悔しい思いをしたり、休むことで罪悪感を抱えたりするお子様は多くいらっしゃるかと思います。
当院では、お子様の状態や不調に考慮した治療を行い、充実した学校生活を送れるよう全力でサポートしています。
「診察で何をされるのか……」と不安になっているかと思いますが、基本的にはお話をメインにしています。
>検査が必要になったとしても、お腹の上から超音波をあてる超音波検査しか行いません。リラックスしてお越しください。
不正性器出血(月経間期出血)
これまで生理が順調で周期的にきていたけれども、生理がまだ来ない時期なのにもかかわらず出血がある状態です。
原因は多岐にわたります。子宮や腟の腫瘍や外傷、炎症によるものもありますし、ホルモン分泌の調整が上手くできないことによって出血することもあります。
まずは大きな問題(がんなどといった悪性疾患)による出血ではないことを、確認するのが重要です。内診や超音波検査、がん検査などで婦人科の病気が心配ない場合には、年齢的な要因、精神的なストレスによってホルモンバランスが崩れることで不正出血が出現しているケースが多いです。
その他、排卵の時期に不正出血が起こることもあります。これは、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が一時的に低下するためです。
国際産婦人科連合(FIGO)ではそれまで使用されてきた不正性器出血の名称を2011年にAUB(Abnomal Ulterine Bleeding:子宮異常出血)と変更し、2018年の定義改訂で月経と月経の間にみられる出血をIMB(intermenstrrual bleeding:月経間期出血)として名称を追加しました。
下腹部痛
生理中以外に生じる下腹部の痛みです。
ヘソの下から恥骨上部までの下腹部が痛い場合は婦人科疾患が疑われます。
高次施設での手術が必要になる可能性もあるので、お悩みの方は早めにご相談ください。消化器疾患や泌尿器疾患などの可能性もあるので、早めに受診して原因を特定してもらいましょう。
過多月経
経血の量が多い状態です。「1日の出血量が140ml以上」と定義されていますが、「普通用ナプキンを1時間に一回以上取り替えないと漏れ出てしまう」「昼でも夜用ナプキンを付けないともたない」「経血の中にレバーのような塊が混じっている」などの症状がありましたら、過多月経となります。
経血量は他人と比較しにくいため、貧血と分かってから気付く方も少なくありません。
一時的に貧血の治療を行ったとしても、経血の量が変わらないと、また貧血を起こしてしまいますので、早期に治療を受けるようにしましょう。
おりものの異常
おりものの量や色、臭いは、一人ひとり異なります。
しかしいつもと違うと感じた場合は、細菌感染や炎症などが起こっているかもしれません。
おりものに違和感がありましたら、放置せずに当院へお越しください。
おりものの異常を引き起こす可能性のある疾患
腟炎(カンジダ腟炎や細菌性腟炎、萎縮性腟炎)や性感染症(クラミジア頸管炎、淋菌頸管炎、マイコプラズマ頸管炎)、子宮頸管ポリープ
検査
おりものの状態をチェックし、培養検査を行います。
検査結果が判明されてから処方を行いますが、診察時に洗浄し、薬を挿入することもよく行われています。
外陰部のできもの
毛嚢炎、毛包炎
外陰部の毛包(もうのう)に細菌が侵入し、感染が起こった状態です。
アンダーヘアの処理をした後や生理中に起こりやすく、赤く腫れたり痛くなったりします。
尖圭コンジローマ
性感染症の一種です。柔らかいイボが外陰部や肛門の周りに発生し、少しずつイボの数が増えて大きな塊にまとまっていきます。
イボはよく、ニワトリのトサカやカリフラワーと例えられています。ヒリヒリする痛みやかゆみ、ほてり、性交時痛などの症状が現れます。
バルトリン腺のう胞
腟の入り口にはバルトリン腺があります。
バルトリン腺のう胞とは、この開口部が閉鎖されたことで内部に液体が溜まった結果、のう胞が生じてしまう疾患です。
のう胞に感染が起こると、痛みが現れます。大きくなった場合は吸引・切開する必要があります。
外陰部のかゆみ
皮膚も粘膜も存在する外陰部は、かゆみや炎症を起こしやすい部位です。
ショーツや生理用ナプキン、経血、おりものなどといった、多くの刺激に触れるため、日常的にかゆくなりやすいのです。しかし、かゆみが治らない場合は感染や炎症が疑われるので、早めに治療を受けるようにしましょう。
外陰部のかゆみの多くは、カンジダ腟炎やかぶれによるものです。
とはいえ、性感染症の可能性も考えられるのでまずは検査を行う必要があります。
かゆみがある部分の診察と、細菌培養検査、そして必要に応じて、性感染症の検査を実施します。
生理前の不調
生理前は、ホルモンのバランスが短期間で大きく揺れ動くので、不調が起こりやすい時期です。
また、普段よりイライラしやすく、感情のコントロールも難しくなります。PMS、PMDDは、生理の約1週間前から始まる心身の症状で、生理が始まるとともに消失(または軽減)していきます。
乳房の痛みや腹部の張り、腰痛、頭痛、食欲不振、吐き気、むくみなどといった身体の症状や イライラ、不安、抑うつなどの精神的な症状が現れます。
また、PMDDはPMSよりも、精神症状が重く現れるものです。
- 著しく情緒が不安定になる(急に悲しくなる、涙脆くなる)
- 強い怒りや抑うつ、不安感、緊張感、絶望感
- 集中力低下、過食、倦怠感
重くなると日常生活・社会生活に大きな悪影響を及ぼすため、一人で抱え込まずに、お気軽にご相談ください。
必要に応じて、精神科と連携をし合うこともあります。
また当院では、漢方やピルを中心に処方しています。
月経移動
生理を移動したい場合は、生理周期をコントロールする月経移動を行いましょう。
大きなイベントと生理がかぶらないよう、コントロールするために行われる方法です。
ピルの服用方法を変えると女性ホルモンの状態も変わるので、予定に合わせて生理日を早めたり遅らせたりすることが可能になります。
早めにご相談ください
生理を遅らせるには中用量ピルが、生理を早めるには低用量ピルか中用量ピルが処方されます。
余裕を持ったスケジュールで服用することが大切ですので、できる限りお早めにご相談ください。
早めたい場合は、移動する生理日の前の生理(1カ月前の生理)5日目までにお越しください。
遅らせたい場合は、生理が来る予定日の5日以上前までにお越しください。
卵巣腫瘍

卵巣にできた腫瘍です。卵巣腫瘍の種類は色々ありますが、その中で最も多いのは「卵巣のう腫」とされています。
卵巣の中に、サラサラした液体のようなものが溜まることが多いのです。ほとんどは良性ですが、卵巣がんなどの可能性も考えられます。内容物がどういう性質なのかによって、疾患名も変わります。
内容物は、サラサラした液体、粘り気のある液体、脂肪や歯、髪の毛といった人間のパーツなど、非常に多岐にわたります。
内膜症による卵巣のう腫の場合、血液が変性してチョコレートみたいな色に変わったものが溜まります。
良性腫瘍でも、閉経を迎えた後に悪性腫瘍へ変わる可能性はあるため、油断は禁物です。
主な症状
卵巣が腫れても自覚症状が目立たないので、大きくなるまで発見されないケースが多いです。
がん検診や婦人科の腹部超音波検査をきっかけに、偶然発見されるケースも少なくありません。主な症状としては便秘や腹部の張り、下腹部痛などが挙げられます。
ある程度のサイズまで大きくなると卵巣の根元が捻じれてしまい、そのまま元に戻らなくなることもあります。
急な激痛が起こり、緊急手術になる可能性もあります。
検査
超音波でサイズを測定し、大きさの変化を確かめていきます。実際の腫瘍の様子を見るために、MRI検査を行うこともあります。また腫瘍マーカー(採血)などで、悪性の可能性がないかも調べていきます。
治療法
大きさの変化が見られないようでしたら、定期的に卵巣のサイズをチェックしながら経過をみていきます。
内膜症による卵巣のう腫でしたら、ホルモン療法がよく選択されますが、子宮内膜症に合わせた治療も重要になります。
大きくなる前に治療を開始することで、今後の見通しも良くなりますので、お早めにご相談ください。
良性腫瘍でも大きくなる場合は、手術をするか否かを、医師と話し合って決めていただきます。
良性腫瘍でしたら、腹腔鏡による手術で切除することが多くなっています。
ただし、大きな腫瘍や悪性腫瘍である可能性が高い場合は、開腹手術を選択されることが多いです。
当院では、「手術が必要」と医師が判断した場合、患者様の生活習慣や今後の妊娠の希望も丁寧にお伺いしてから、手術を受ける医療機関をご紹介しています。
手術の方法や日数、手術のタイミングにつきましては、ご紹介先の先生が判断します。また、手術方法・術式は、腫瘍のサイズや患者様の年齢、希望に応じて選択されます。
手術後の経過で特に問題がない場合は、紹介先の医療機関と連携を取りながら、また当院で引き続き、術後の経過観察を受けることが可能です。
避妊
避妊方法で代表的なものとして、コンドームが挙げられます。
しかし途中で脱落する、破損するといったトラブルで避妊に失敗するケースも少なくありません。
「途中でつけ始める」など、誤った装着方法で使用される方も実は多くいらっしゃいます。
アフターピル
避妊に失敗した場合でも、妊娠を防ぐ「緊急避妊」が行えます。
性交後72時間以内でしたら可能で、副作用のリスクもほとんどありません。
効果は高いとはいえ、100%成功するとは断言できません。ただしアフターピルは、服用が早ければ早いほど、より高い効果を発揮します。
諦めずに、お早めにご相談ください。
その他の避妊方法
低用量ピルは、女性が自身の身体を守る避妊法でもあります。用法・用量を守って服用すると、100%近い避妊効果を得ることができます。
また当院では、ミレーナ(避妊リング)の挿入にも対応しています。