子宮内膜ポリープの日帰り子宮鏡下手術

子宮内膜ポリープとは

 

子宮内膜ポリープと子宮頸管ポリープ子宮の内腔にポリープ(腫瘍)ができる疾患です。

子宮内膜ポリープは一つだけできる場合と、多発する場合があります。

多くは良性腫瘍ですが、0.1%のケースで悪性の所見が見られる可能性があります。
そのため、切除した子宮内膜ポリープを検査し、悪性の有無を調べます。

子宮内膜ポリープの大きさは、小さいサイズで数mm程度、通常のサイズは直径3〜4cm、大きいサイズだと10cmにもなります。

不正出血や生理の出血量の増加、不妊の原因にもなりますので、適切な治療を受けることが重要になります。

子宮内膜ポリープの手術は子宮鏡手術で行います。

子宮内膜ポリープについて、詳しくは以下のページで説明しています。

子宮内膜ポリープ

手術方法

子宮内膜ポリープの手術は、お腹を切るような手術ではなく、経膣的にアプローチする手術になります。

子宮鏡で行いますが、子宮鏡にも以下のいくつかの種類があります。

レゼクトスコープ

レゼクトスコープ多発しているポリープにも単発のポリープにも使用できます。

電気的なデバイスなので止血処置が可能です。
太い子宮鏡のため、前日に麻酔を使用せずに子宮頸管を広げるラミナリアという前処置が必要です。

ラミナリアとはラミナリア桿という海藻から作られた水分を吸収し、膨張させ、子宮の頸管を拡張する器具です。
拡張には12時間必要なため、手術の前日に処置を行います。

そのため、全身麻酔下で入院手術をします。

 

細径硬性子宮鏡

細径硬性子宮鏡卵管角、単発のポリープに使用します。

多発ポリープに摘出には不向きであり、止血処置も不可です。
局所麻酔麻酔で手術をすることができ、前日のラミナリアの処置も不要のため、日帰りでの手術が可能です。

 

シェーバーシステム

シェーバーシステム

多発しているポリープにも単発のポリープにも使用できます。

多発ポリープではレゼクトスコープよりも短時間でポリープの切除が可能ですが、止血処置は不可となります。

局所~静脈麻酔で手術をすることができ、前日のラミナリアの処置も不要のため、日帰りでの手術が可能です。

当院ではシェーバーシステムでの日帰り手術を行っています。

 

フルディスポーザブル子宮鏡

フルディスポーザブル子宮鏡単発、2-3個の数個の多発ポリープであれば使用できます。

子宮鏡と小型液晶ディスプレイが一体となっており、フルディスポーザブルです。滅菌も必要ありません。

止血処置は不可ですが、痛みに強い方であれば、麻酔を使用しなくても日帰りでの手術ができます。

当院ではフルディスポーザブル子宮鏡での日帰り手術も行っています。

子宮鏡手術とは

子宮鏡手術は日帰りが可能です。

前述した通り、子宮鏡手術は入院手術と日帰り手術があります。

入院手術の場合は1泊2日または2泊3日入院します。
費用は、約80,000円です。

日帰り手術の場合は個人差がありますが麻酔を使用した場合、2-3時間で帰宅となります。
費用は約48,000円です。

当院での子宮鏡手術はシェーバーシステムとフルディスポーザブル子宮鏡を使用しています。
そのため、多発しているポリープも日帰りで行うことができます。

日帰り手術が可能な子宮鏡手術の対象疾患

子宮鏡手術の方法

子宮鏡子宮鏡手術では、内視鏡(子宮鏡)を子宮内へ挿入し、子宮の内腔をテレビモニターに映し出して直視下での手術を進行します。

この手法により、子宮筋腫や子宮内膜ポリープをほぼ確実に切除することが可能となります。
子宮内にポリープが多発している患者様でも、切除ができます。

摘出した組織は病理検査へ提出されるため、麻酔を使用した患者様は実際の病変を直接確認することはできませんが、モニター画像や術後に採取した検体を通じて確認することが可能です。

一方、無麻酔や局所麻酔のみを選択した患者様は直接検体を見ることができます。

子宮前壁に多発する​子宮内膜ポリープ​

子宮前壁に多発する​子宮内膜ポリープ​

左卵管口付近から発生した子宮内膜ポリープ​

左卵管口付近から発生した子宮内膜ポリープ​

手術動画

こちらは当院で行った、子宮内膜ポリープの電動シェーバーでの手術動画です。
このように多発している内膜ポリープでも手術をすることが可能です。

メリットとデメリット

メリット

  • 多発しているポリープでも短時間で手術可能
  • 術後の痛みが軽く済む
  • 手術時間が15分~20分、短時間で済む
  • 2~3時間で帰宅できる
  • 出血が少なく済む
  • お腹を切らない経腟手術
  • 入院が不要なので経済的
  • お仕事への復帰が早い
  • 手術後1〜2時間で飲食や歩行が可能

デメリット

  • 手術後に少量の出血
  • 手術後、数日間の軽い生理痛のような腹痛

※当院でこのようなことが起きた場合には、24時間サポートチャットでメッセージを送付することが可能です。

子宮鏡手術の注意点

手術前の注意点

妊娠している場合には流産の危険性があるため、避妊をしてください。

手術日の注意点

手術の当日は、手術開始予定時刻の30分前にご来院いただきます。

手術開始予定時刻の6時間前より禁食、2時間前よりお水やお茶などの飲水のみ可能としております。

当日は麻酔を使用しますので、自動車や自転車などご自身での運転は禁止です。
お付き添いの方の運転や、公共交通機関でのご帰宅をお願いしております。

手術後の注意点

日帰り手術のため、すぐに通常の日常生活に戻ることができます。

手術はしたいけれども、通常の生活への影響を少なくしたい方には、日帰り手術をおすすめします。

重い荷物を持つ行為や、激しい運動は術後1週間はお避け下さい。
出血を助長させる可能性もあります。

手術後の診察(最低2週間)までは性交渉、入浴は控え、シャワー浴のみにしてください。
手術後の感染予防のため、3日分の抗生剤を処方いたします。
翌日から服用を開始し、必ず飲み切ってください。

手術後の仕事

働いている方や主婦の方も翌日よりお仕事、家事が可能です。

そのため、ほとんどの方は治療によるお休みが、手術当日の1日だけで済みます。

午前中にお仕事をしてから、午後の手術を行うことも可能です。

ただし、お仕事の内容によっては、医師より制限がかかる可能性がございます。
診察時に医師にご相談ください。

日帰り手術の通院回数

他院で子宮鏡検査を行い、子宮内膜ポリープの診断に至った方の通院回数は、手術前検査・説明、手術、手術後の診察の計3回で終了いたします。

健康診断や、他院の超音波(エコー)検査で子宮内膜ポリープの可能性を指摘された方は、子宮鏡で詳しく検査を行います。
そのため、上記の方は手術が必要となった場合に子宮鏡検査、手術前検査・説明、手術、手術後の診察の計4回または5回の通院が必要になります。

当院で子宮鏡検査ができるため、健康診断や他院で指摘された場合にも、まずはお気軽に医師の診察にご来院ください。

日帰り手術の主な流れ

子宮内膜ポリープの子宮鏡手術は、生理終了直後が手術に適しているため、早めの手術をご希望の方や手術のタイミングに迷っている方は、生理直前の受診をおすすめします。

手術が決まっている場合の流れをご説明します。

手術前検査と説明

まず初回の来院では医師との診察、手術前の説明、手術前の検査を行います。

検査内容

  • 淋菌・クラミジアの検査
  • 超音波検査
  • 感染症を含む血液検査
  • 尿検査

他院で淋病とクラミジアの陰性結果、感染症を含めた血液検査と尿検査の結果を用紙でご持参いただいた場合には、検査が重複してしまうため当院での検査は省略いたします。

手術の前に子宮鏡手術について詳しく説明いたしますので、ご納得いただいた上での手術が可能です。

手術当日

子宮鏡手術の当日は、手術開始予定時刻の30分前にご来院いただきます。

必要な方は、妊娠検査を行います。

当院での手術の予約可能時刻は、10時30分~14時30分となります。

お着換え、点滴などの準備を行い、手術室に移動し静脈麻酔を注入します。
手術時間は15~20分ほどで終了し、麻酔の効果が切れるまでゆっくり休んでいただきます。

目が覚め、意識がはっきりとしてから手術後の診察をいたします。
手術後の子宮内膜の様子を超音波検査で行い出血の有無を確認します。

経過が良好な場合に医師が帰宅可能と判断し、帰宅となります。

手術後の診察

日帰り手術の当日から2週間経過後に、当院での術後診察があります。

この受診では、手術後の子宮内膜の状態を超音波検査で確認します。
手術で取り出された組織の病理検査の結果を詳しくご説明させて頂きます。

術後の状態、病理検査に異常がない場合には子宮鏡手術に関しての通院は終了となります。

日帰り手術が可能な日時

平日・土曜 10:30・12:30・14:30

麻酔を使用するため、手術後院内で休んでからの帰宅になります。
帰宅時間は個人差がありますので、最終手術予約時間は14:30とさせていただいております。

手術に時間をかけたくない、手術後すぐに仕事に行きたい方などは麻酔を使用せずに手術が可能です。

最後に

当院受診の患者様はもちろん、他院からの御紹介の患者様でも、当院で子宮内膜ポリープの子宮鏡手術が可能です。

東京都内にお住まいの患者様が多いですが、神奈川、埼玉、千葉といった関東近郊にお住まいの方も当院で日帰り手術を受けるケースが多くなっています。

渋谷駅、表参道駅、原宿駅、明治神宮前駅より徒歩圏内のため、遠方からの来院も可能です。

手術に関するご質問があれば、当院にお電話か、あるいはLINEをご登録して頂ければチャットでのご質問もできますのでご利用ください。

健康診断などでの腹部超音波検査により、子宮筋腫や内膜ポリープを指摘されることもあります。
その場合手術をした方が良いのか、経過観察でも良いのか、など不安や、不明点もあると思います。

手術はとても大きな決断ですので、当院では医師との診察で、患者様にご納得いただいた上で手術を行っています。
手術の強制はいたしませんので、ご相談だけでもお気軽にご来院ください。

治療にかかる費用の目安

内容 料金
初診料 890円
再診料 380円
超音波検査 1,600円
子宮鏡検査 1,900円
手術前検査 9,530円
手術(麻酔あり) 25,800円
手術(麻酔なし) 23,800円
材料費 22,880円
抗生剤 240円
保険会社診断書 5,500円

手術実績

2023年9月~12月

手術内容 手術件数
子宮鏡下内膜ポリープ切除術 14件
(静脈麻酔あり) (11件)
(静脈麻酔なし) (3件)
子宮鏡下子宮筋腫摘出術 4件
円錐切除術(LEEP) 1件
子宮頸管ポリープ切除術 11件
(有茎性) (9件)
(無茎性) (2件)
尖圭コンジローマ切除術 9件
流産手術(手動吸引法) 1件

よくあるご質問

手術費用はいくらですか?

手術の総額で約48,000円となります。

何回通院が必要ですか?

3回または4回の通院で治療は終了します。子宮鏡検査を行わない場合には、初回受診時に診察と術前検査、手術日程の調整を行います。2回目は手術を行い、3回目は手術後の内膜の確認、手術の時に生検した病理の悪性の有無の結果をご説明いたします。子宮鏡検査を行う場合には、2回目に子宮鏡検査を行います。

麻酔なしでも手術は可能ですか?

静脈麻酔なしでの手術もできます。その際には、局所麻酔のみを使用し手術を行います。

手術は何分で終わりますか?

手術を行っている時間は15~20分です。

静脈麻酔を使った場合、何時間で帰れますか?

個人差がありますが、3~4時間ぐらいです。手術の後にゆっくり休んでいただき、体調を確認してからご帰宅となります。

静脈麻酔なしの場合、何時間で帰れますか?

個人差がありますが、1.5~2時間ぐらいです。静脈麻酔を使用しない場合には、手術後にお仕事に行くことも可能です。

悪性になる可能性はありますか?

0.1%のケースで悪性の所見が見られる可能性があります。手術で切除した検体を病理検査で良性か悪性かを判断します。手術の2週間後に結果をご説明いたします。

子宮内膜ポリープが悪性だった場合どうなりますか?

病理検査が悪性の場合にはガイドラインに沿って手術、または、妊孕性温存が可能であればホルモン療法が行われます。手術した場合には、病変の進行度、組織型やGradeにより化学療法の必要性を判断します。悪性の場合には、総合病院や大学病院をご紹介させていただきます。

子宮鏡手術は入院が必要ですか?

当院では日帰り手術が可能です。当院では入院施設がないため、日帰り手術のみとなります。

入院手術と外来手術の違いは何ですか?

入院での手術は麻酔科医が麻酔を担当して手術を行います。全身麻酔下での手術が必要な場合には入院手術になります。

子宮内膜ポリープはそのままにしてもいいですか?

自然に消滅することはほとんどなく、基本的に切除による摘出が主な治療法となります。

手術しても再発しますか?再発率は?

子宮内膜ポリープの再発率は3~40%程度とされています。6個以上の多発するポリープだと有意に再発率が上昇すると報告されています。

子宮内膜ポリープができる原因はなんですか?

女性ホルモンであるエストロゲンの影響や子宮内の持続的な炎症、分娩・流産後などがポリープの発生に関わっています。ストレスも内膜ポリープの原因の一つとして考えられています。

子宮内膜ポリープがあると妊娠に影響はありますか?

子宮内膜ポリープは大きさや発生部位により受精卵の着床を妨げる原因となります。不妊症の原因にもなり、不妊症のに悩む女性の10~20%程度で子宮内膜ポリープが認められるとされています。子宮内膜ポリープを切除することで妊娠率が改善すると報告されています。

子宮内膜ポリープがある時に性行為をしてもいいですか?

問題はありません。性交渉時に出血が出るのであれば性交渉を避けて、手術を優先したほうがいいでしょう。

症状はなんですか?

症状は見られない方もいますが、不正出血や帯下の異常といった症状が出ることがあります。不正出血がある場合には原因を検査で調べることから行います。

子宮鏡の子宮内膜ポリープ手術は痛いですか?

無麻酔で手術をする患者様は、「卵管造影と同じぐらいの痛み」や「生理痛の重い痛み」と表現されます。痛みの感受性は様々なため、ご不安があるようであれば当院では静脈麻酔を使用しての手術にもご対応しています。

生理中でも手術はできますか?

生理中はカメラの視野が悪くなるため手術を行うことが困難になります。また、排卵期以降も内膜が肥厚しているので手術の難易度が上昇します。手術の理想的な時期は生理直後~排卵前になります。

子宮内膜ポリープは自然に消える事はありますか?

子宮内膜ポリープが自然に消滅することはほとんどありません。

 子宮内膜ポリープの大きさはどのぐらいですか?

患者様ごとに大きさは異なります。小さなポリープだと数mm、大きなポリープだと2~3cmになることもあります。1個のポリープの患者様もいれば、様々な大きさのポリープが多発している患者様もいます。

手術はどんな方法で行いますか?

様々な術式がありますが、当院ではシェーバーシステムの子宮鏡、フルディスポーザブル子宮鏡で手術を行っています。経腟的に子宮鏡(カメラ)を子宮内に挿入します。子宮内に生理食塩水を注入することで子宮内を拡張し、病変を確認しやすくします。病変を確認したら、電気シェーバーにより切除します。

手術の翌日に仕事をすることはできますか?

基本的に翌日の勤務は可能です。出血が多くなるようであれば、勤務形態を1~2週間ご変更頂くのがいいでしょう。

手術後に海やプールに入ることはできますか?

手術後は1~2週間程度出血が見られるため、術後初回の外来で問題ないことを確認するまでは海水浴やプールは控えて下さい。そのため、手術後2週間は運動なども控えていただきます。

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