月経移動とは
受験や結婚式、スポーツの試合、旅行など、特別なイベントと月経が重なって困っている時に、ピルを飲むことで月経日をずらすことで、月経とイベントがかぶらないようにする方法です。
「温泉に入る」「海水浴する」などの予定と月経がかぶりそうな時は、ピルを1日1回ずつ、数日間飲み続けて月経日をずらしましょう。
また、避妊目的で低用量ピルを飲み続けている方でも、月経移動は行えます。
月経の移動は、ピルの服用を始める日に応じて、早めたり遅らせたりすることが可能です。
月経を避けたい日まで、ある程度日数に余裕がありましたら、早めに婦人科へ受診してください。
約10〜14日間の移動でしたら、身体への負担もほとんどありません。
14日以上も移動すると、途中で不正性器出血が起こったり、服用が終わった後に月経が来なくなったり、避けたい日に月経が来たりする恐れがあります。月経開始の数日前に内服しても期待した効果が得られない可能性が高くなります。
だからこそ、時間に余裕があるうちにお越しいただくことをお勧めします。月経日になってから早めにお越しいただき、月経を早める移動を行うと、イベントのある日にピルを飲まなくても済みます。
副作用
ホルモン量が多く含まれている中用量ピルを飲む方法ですので、患者様によっては眠気やだるさ、吐き気、嘔吐、頭痛など副作用が現れるかもしれません。
また、ピルを飲むと排卵した後の状態と同じになるため、体温の上昇、胸の張り、軽いむくみなどが生じることもあります。ただしこれらは副作用ではありませんので、ご安心ください。
月経を早める方法
月経開始日から5日目までにピルを飲み始めていただきます。移動したい月経日の2~3日前まで、服用は続けてください。
服用が完了してから2~3日経つと月経が来ます。この方法ですと、月経を移動したい日にピルを飲む必要がないので、飲み忘れないようピルの服用を管理する必要もありません。
ただし、月経開始日からすぐにピルを飲まなくてはいけません。移動したい月経の、一つ前の月経が来たら、5日以内に婦人科へ行く必要があります。
月経を遅らせる方法
月経が始まると予想できる日の、約5日前からピルを飲み始めます。服用は月経を移動したい日まで続けましょう。
ピルを飲み続けている間、月経は来ません。服用が終わってから2~3日後に月経が始まります。
月経周期が予測できない場合
周期が乱れていて、次の月経開始日が予測しにくい場合は、この方法で移動できない可能性があります。
その場合でも確実に月経日をずらすには、月経を早める方法の他にありません。当てはまる方は速やかに当院へご相談ください。
早めに受診してください
10~14日間ぐらいの移動でしたら、身体に負担がほとんどかかりません。14日以上も大幅にずらしてしまうと、途中で不正出血が生じたり、服用後に月経が始まらなくなったり、移動したい日に月経が始まったりする可能性があります。
そのため、まだ時間に余裕がある時からご来院いただくことをお勧めしているのです。月経が始まってからすぐにご来院いただいて、月経を早めていくと、イベントのある期間中でもピルの服用が要らなくなります。
月経移動する際の注意点
- 避妊効果はありません。避妊を目的に行うのはお止めください。
- 風邪薬や解熱鎮痛剤、抗生剤、抗アレルギー剤を飲んでいる時でも、ピルを一緒にお飲みいただけます。
- 吐き気や嘔吐などの副作用を回避するため、毎日寝る前に服用してください。なお、服用する時間が予定より3~4時間ずれても、特に問題はありません。
- 頭痛や吐き気・嘔吐といった副作用を解消するために、吐き気止めの薬や鎮痛剤を飲んでも構いません。
- 1~2錠でしたら、服用を忘れても特に問題ありません。飲み忘れが分かった時点で、忘れたピルも含めて追加で飲み、服用を継続しましょう。
- 月経が来る恐れがあるので、3日以上の飲み忘れがないよう気を付けてください。
- 服用中に不正性器出血が見られた場合でも、そのまま服用を続けてください。通常、出血は治まりますが、治まらない場合でも、少量出血のまま維持できる可能性があります。
- 時差が発生するイベント(海外旅行など)の場合でも、寝る前には必ずピルを飲みましょう。次の服用時間まで24時間以上空いてしまう場合は、次の服用を早めに済ませてください。一時的でしたら、24時間以内に2錠飲んでも問題ありません。
- 短期間のイベント(旅行など)に備えた移動でしたら、簡単に行えます。ただし、ある程度の期間を要するイベント(複数の学校を受ける受験期間など)のために行う場合は、月経移動できない可能性もあります。
その場合は低用量ピルを使って、約6ヶ月前から月経の調整を行うと良いでしょう。
月経移動が難しい方
下記に該当する患者様は、ピルによる血栓症や乳がん、胎児・新生児へのリスクが生じるので、処方をお断りする可能性もあります。予めご了承ください。
また、他の症状や既往歴によって服用が難しい方や、慎重に服用する必要のある方もいます。何らかの疾患や症状のある方は、速やかに受診して医師に相談することをお勧めします。
- 肥満(BMIが30以上)
- 高血圧(血圧の数値が160/100mmHgを超えている)
- 重度の喫煙者(35歳以上で、1日に15本以上)
- 前兆のある片頭痛
- 乳がん(乳がん手術から5年以内の方も該当します)
- 妊娠している、または妊娠している可能性がある
- 現在授乳されている
特別なイベントを控えていて、月経日を移動させたい方がいましたら、早めに当院へご相談ください。
とはいえ、移動を行っても絶対に月経を避けられるとは限りません。場合によっては出血してしまうことを、ご理解いただいてから治療を受けてください。