梅毒

梅毒とは

梅毒トレポネーマによる代表的な性感染症の一つです。

2010年以後、日本では梅毒の患者数が顕著に増加しているので、注意が必要です。

最近ではクラミジア感染症に次いで日本で2番目に多い性感染症となっています。
感染症法では、梅毒は第5類感染症です。

感染した方が妊娠すると、胎盤を通過する赤ちゃんが感染し、重い障害を持って生まれてくる可能性も高まります。

梅毒になる原因

性行為やキス、皮膚や粘膜の傷、輸血などから感染する疾患です。

この他に、妊娠している母親の胎盤を通じて胎児に感染する先天性梅毒があります。

梅毒の症状

4期に大別されます。時期によって出現する症状も異なります。

第1期

10~90日とかなり長めの潜伏期間を経てから、症状が出現します。

初期硬結(しょきこうけつ)ができ、それが潰瘍となります。

痛みは伴いません。潰瘍は数週間で消失しますが、痕が残ってしまいます。

第2期

感染後から3カ月以上経つと、梅毒特有の赤い湿疹が全身にできます。

髪の毛がまだらに抜けていく梅毒性脱毛もみられます。

多くの方がこの段階で、発症に気付きます。

第3期

感染後から2~3年経過すると、筋肉や骨、内臓に「ゴム腫」という結節が生じます。

ゴム腫はだんだん大きくなっていきます。

第4期

感染から10年以上経つと中枢神経系と心臓血管系まで侵され、大動脈瘤や大動脈中膜炎、進行麻痺、認知症症状が引き起こされます。

徐々に記憶障害や思考力の低下、全身麻痺、妄想を引き起こし、最悪の場合、命を落とします。

梅毒の検査方法

採血を行います。

感染から6~8週間経過していないと正確に診断できないので、再検査を行うこともあります。

脂質抗体検査法(STS)であるRPR法とトレポネーマ抗体検査法であるTPHA法を組み合わせた検査を行います。

梅毒の治療内容

注射と内服をし、定期的に採血を行います。

早くても、治療開始後より1年後に治癒の診断に至ります。

主な治療法は、ペニシリンという抗生剤を用いる薬物療法です。
筋肉注射(ステルイズ)や内服薬(サワシリン+プロベネシド)で治療していきます。

梅毒治療開始後24時間以内に頭痛、発熱、筋肉痛などの症状が出ることがあります。
これは治療による反応(ヤーリッシュヘルクスハイマー反応)であり、抗生剤のアレルギー反応ではありません。
この反応に対する予防法はありません。

RPRが梅毒の現在の活動性を反映するため、RPRを治療効果判定に使用します。
RPRが治療開始前の4分の1に下がれば治癒したと判断します。

治療後はSTS抗体価を定期的に追跡します。
治癒後6ヶ月経過して16倍以上であれば、再感染と考えられます。

治癒後6ヶ月、12ヶ月後のSTS抗体価で8倍以下であれば治癒したと判断します。

梅毒血清反応検査の評価と対応

TPHA陰性 TPHA陽性
STS陰性 正常 感染初期(抗体陰性期) 陳旧性梅毒(治療不要)
STS陽性 生物学的偽陽性 感染初期 梅毒(要治療) 陳旧性梅毒(治療不要)
  • STS陽性、TPHA陰性の場合にはFTA-ABS法の追加検査を行います。
  • STS定量法の抗体価が病勢を反映するので治療指標として用います。
  • 定期的にSTS抗体価を追跡して、8倍以下を確認したら治癒の診断となります。

梅毒治療中の性行為

梅毒の治療中に性行為はできません。

性行為によって感染が広がる可能性があるため、治療中は性行為を控えるようにしましょう。

また、梅毒は免疫を持つことができません。
完治をしたとしても、再度感染する可能性があります。

一度感染したからもう感染することはない、とは言い切れないということです。

検査と治療にかかる費用

内容 料金
初診料 890円
再診料 380円
梅毒採血(STS定性) 590円
梅毒採血(TPHA) 640円
ステルイズ(注射) 1回2,780円
ビブラマイシン(内服) (4週間)360円
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