子宮頸がん検診の検査結果(ベセスダ分類)

子宮頸がん検診の結果一覧

扁平上皮系

  • NILM(エヌアイエルエム):陰性。異常なし
  • ASC-US(アスカス):軽度上皮内病変疑い
  • ASC-H(アスクハイ):上皮内病変疑い
  • LSIL(エルシル):軽度異形成の疑いあり
  • HSIL(ハイシル):中度から高度の異形成あり
  • SCC(エスシーシー):扁平上皮がんの可能性あり

腺細胞系

  • AGC(エイジーシー):異型腺細胞あり
  • AIS(エイアイエス):上皮内腺がんの可能性あり
  • Adeno-carcinoma(アデノカルチノーマ):浸潤をともなう腺がんがみられる
  • Other malig:他のがんがみられる

子宮頸がん検診は、正式には子宮頸部細胞診と言われる検査を行っています。
子宮頸部細胞診は、ベセスダ分類といわれる評価方法によって、上記のように分類されています。
それぞれの項目に推定される病理診断が割り当てられています。

ベセスダ分類では、子宮頸がんの要因であるHPVの感染初見を考慮した分類になっています。

その結果により、精密検査であるコルポスコピー検査やハイリスクHPV(ヒトパピローマウイルス)検査を行う必要性があるのかを判断します。

下の円グラフは、2013年~2017年に行政検診で子宮頸がん検診の結果、要精密検査となった方の検査結果の割合です。

ASC-USが35.4%、LSILが36.3%、ASC-Hが10.0%、HSILが13.7%、扁平上皮がんが0.9%、AGCが2.7%、上皮内腺癌が0.2%、腺癌が0.3%です。

子宮頸がん検診の要精密検査の検査結果の割合

NILM

読み方

エヌアイエルエム

NILMとは

NILMは正常な所見です。

通常は2~3年ごとに定期検診をしますが、HPV検査を行っている場合、HPV陽性であれば1年毎に定期検査をしていきます。

引き続き定期的な子宮頸がん検診を行いましょう。

ASC-US

読み方

アスカス・アスクユーエス

ASC-USとは

atypical squamous cells of undetermined significance(意義不明な異形扁平上皮細胞)の略です。ベセスダ分類では診断が難しい異型な細胞に関するカテゴリーがASC(異型扁平上皮細胞)いけいへんぺいじょうひさいぼうとして分類されました。

ASC-USは軽度異形成を疑う所見ですが、軽度異形成と推定するまでの所見には至らず、一時的なHPVの感染が見られる場合につけられます。

東京都予防医学協会の報告では、2013年~2017年の検診者の0.85%がASC-USと診断されています。

ASC-USの今後の方針

ASC-USと診断された場合にはまずHPV検査を行います。

ハイリスクHPV検査が陽性であればコルポスコピー検査を行います。
ハイリスクHPV検査が陰性であれば1年後に子宮頸部細胞診を行います。

LSIL

読み方

エルシル・ローシル

LSILとは

low-grade squamous intraepithelial lesion(軽度扁平上皮内病変)の略です。

HPV感染や軽度異形成が推定される場合に診断されます。

東京都予防医学協会の報告では、2013年~2017年の検診者の0.87%がLSILと診断されています。

LSILの今後の方針

LSILと診断された場合には、コルポスコピー検査を行います。

軽度異形成と診断された場合には、4~6ヶ月ごとにコルポスコピー検査を行います。

HPV検査でHPVが検出されないか、あるいはHPV16型、18型、31型、33型、35型、45型、52型、58型以外のHPVが検出された場合には1年後に子宮頸部細胞診やコルポスコピー検査を行います。

HSIL

読み方

ハイシル

HSILとは

high-grade squamous intraepithelial lesions(高度扁平上皮内病変)の略です。

HSILは高度な異形病変(前がん病変)や中等度の異形成を示唆する所見と考えられます。

東京都予防医学協会の報告では、2013年~2017年の検診者の0.33%がHSILと診断されています。

HSILの今後の方針

HSILと診断された場合には、コルポスコピー検査を行います。

中等度の異形成であれば3~4ヶ月ごとに経過観察をします。

HPV検査でHPVが検出されないか、あるいはHPV16型、18型、31型、33型、35型、45型、52型、58型以外のHPVが検出された場合には6ヶ月ごとにコルポスコピー検査を行います。

高度の異形成の場合には円錐切除術などの手術を行います。

ASC-H

読み方

アスクハイ

ASC-Hとは

ASC-Hは高度な異型変化を示唆する所見が見られたときに診断されます。

閉経後の方では、女性ホルモンの低下による膣の乾燥、萎縮による変化でASC-Hと診断されることもあります。
その場合には、女性ホルモン剤をあらかじめ使用してから、再度、子宮頸部細胞診を行います。

ASC-HはASC全体で10%未満になるように定められています。

東京都予防医学協会の報告では、2013年~2017年の検診者の0.24%がASC-Hと診断されています。

ASC-Hの今後の方針

ASC-Hと診断された場合には、コルポスコピー検査を行います。

コルポスコピー検査で高度の異形成の場合には円錐切除術などの手術を行います。

子宮頸がん検診について

不正出血など、症状のある方は保険診療の適用となりますが、症状のない方のスクリーニング検査は、保険診療の適用外となります。

会社の健康診断で無料で行うことができたり、有料でオプション検査として付加することができる方もいるかと思います。

市町村の子宮頸がん検診で無料、またはお安く検査をすることができます。
ただし、市町村の子宮頸がん検診は期間が決まっている可能性もあるので、期間が過ぎてしまうと市町村の子宮がん検診は数年後の案内となります。

子宮頸がん検診は2000年には500万人の受診者でしたが、2016年には900万人を超える方が受診しています。

こちらを考えると、認知度が上昇した印象も受けます。
ただ、子宮頸がんの患者様で子宮を摘出している方は毎年約10,000人います。

症状のある方も症状のない方も、お気軽に当院にご来院いただければと思います。

検査と治療にかかる費用の目安

内容 料金
初診料 890円
再診料 380円
子宮頸部細胞診 1,070円
HPV検査(9種類) 2,600円
コルポスコピー検査+生検 5,000円
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