生理不順に悩み、ピルの服用を検討している方もいらっしゃるかもしれません。ピルには避妊以外にも、ホルモンバランスを整えて月経周期を安定させる働きが期待できます。
本記事では、生理不順の種類や主な原因を解説した上で、ピルによってなぜ改善が期待できるのか分かりやすくご紹介します。女性特有の悩みを解消し、生活の質を高めたい方はぜひ参考にしてください。
そもそも生理不順とは?
生理不順とは、生理の間隔や期間が一定ではなく安定しない状態を指します。女性の体はホルモンバランスによって生理の周期が調整されていますが、そのバランスが崩れると周期が極端に短くなるまたは長くなる、生理がこないこともあります。
思春期や更年期のようにホルモンの変動が大きい時期は特に影響を受けやすく、誰にでも起こり得るものです。まずは、生理不順の種類を理解することが重要です。
頻発月経
頻発月経とは、生理の周期が24日以内と短く、1ヶ月に2度生理がくることもある状態です。ホルモンの分泌リズムが崩れて卵胞期や黄体期が短くなってしまう、排卵がうまく行われていないことが原因とされています。
なかには黄体ホルモンの不足により子宮内膜が十分に育たず、不妊につながるケースもあります。月経の量や期間にも変化が現れる場合があるため、日常生活に支障が出て悩む方も多いでしょう。
稀発月経
稀発月経は通常よりも周期が長く、39日以上3ヶ月未満で生理が起こるケースを指します。周期が急に延びるなど徐々に長くなるのが特徴で、排卵のリズムが乱れていることが多いとされます。
さらに、3か月以上生理が来ない場合は「続発性無月経」と診断されることもあり、ホルモン異常や生活習慣の影響が関係している可能性があります。
過長月経
生理の出血が8日以上続く場合は、過長月経と呼ばれます。視床下部や卵巣などのホルモン分泌に異常があるとき、排卵が行われていない「無排卵周期」によって引き起こされることがあります。
出血量が多く日常生活に支障をきたすこともあるため、早めの受診が必要です。
過短月経
過短月経とは、生理の出血が2日以内で終わってしまう状態を指します。経血の量が少ない「過少月経」を伴うことがあり、女性ホルモンの分泌不足や子宮内膜が十分に育っていないのが原因とされます。
子宮の発育に問題があるケースも考えられるため、継続的に短期間の出血が続く場合は、過短月経の可能性があります。
生理不順の原因
生理不順は、体の中でさまざまな要因が重なり合って起こります。特にホルモンバランスが乱れると、生理周期が不規則になってしまうことや、月経が止まることもあります。
年齢による変化のほか、生活習慣や病気の影響も関係してくるため、症状が長く続く場合は早めに対処しましょう。ここでは、生理不順の主な原因について詳しく解説します。
生理周期が不安定
思春期に入ったばかりの10代は、ホルモン分泌のリズムがまだ整っておらず、生理周期が不安定になりやすい傾向があります。初潮から数年は生理の間隔が一定になりにくく、長く空いてしまうことや短くなることもあるでしょう。
ただし、半年以上も月経がないような場合は、ホルモン異常の可能性もあるため医療機関での確認が必要です。
閉経の影響
40代後半から50代にかけては更年期に差し掛かり、卵巣機能の低下によってホルモンバランスが乱れやすくなります。この影響で、生理周期がバラバラになる、出血量が急に変化するなどの生理不順が見られるようになります。
閉経前は周期が短くなったり、逆に間隔が空いたりと、明らかな変化が現れることが多いため、自分の年齢や体調の変化と照らし合わせて意識してみましょう。
妊娠
生理が遅れている場合、妊娠している可能性も考えられます。避妊していても100%妊娠を防げるわけではないため、少しでも可能性がある場合は、妊娠検査薬で確認することをおすすめします。
現在は市販の検査薬でも高い精度があり、生理予定日を過ぎた頃から反応が出ます。陽性であれば速やかに産婦人科を受診してください。
過度なダイエット
極端に食事制限すると体に必要な栄養が不足し、女性ホルモンの分泌に影響を与えてしまいます。体重が急激に減ってしまう、栄養バランスの悪い状態が続くと卵巣の働きが低下し、生理が止まることもあります。
成長期や若い女性に多く見られるため、美容目的の無理なダイエットに注意してください。生理が来なくなったと感じたら速やかに医師に相談しましょう。
過度なストレス
ストレスが続くと、脳の視床下部というホルモンの司令塔に影響を与え、生理のリズムが崩れてしまいます。環境の変化やプレッシャー、人間関係など、日常生活のなかにあるささいなストレスも原因になります。
眠れない、情緒が不安定になるといった症状がある場合は、心身の疲労が蓄積しているサインかもしれません。リラックスできる時間を意識的に確保することが、回復への第一歩です。
甲状腺疾患
甲状腺は体の代謝やホルモン分泌を調整する重要な臓器です。ここに異常が起きると、生理不順の原因になることがあります。
橋本病やバセドウ病といった甲状腺ホルモンの異常は女性に多く、気づかないまま症状が進むケースも少なくありません。体温の異常や動悸、体重の急変、気分の浮き沈みがあるときは、早めに内分泌科など専門の医師に相談してください。
ピルで生理不順が改善する理由
ピルは避妊薬として知られていますが、生理不順の治療にも広く用いられています。ホルモンバランスの乱れが原因で生理周期が不安定になっている場合、ピルの服用によって体内のホルモン量を一定に保つことで、周期を安定させる効果が期待できます。
ピルに含まれるのは、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンです。これらを継続的に摂取することで、体は妊娠していると錯覚し排卵が抑制されるとともに、子宮内膜の増殖も抑えられます。結果として、体内のホルモンの波が落ち着き、生理が規則正しく訪れるようになるのです。
さらに、低用量ピルでは偽薬(薬の成分を含まない期間)を挟むことで、計画的に出血を起こし、生理周期を自分の意思で管理しやすくなる点も特徴で、副作用が少なく、長期的な服用も可能なため、生理不順の治療に適した選択肢の一つです。
ピル以外の生理不順の対処法
ピルは生理不順の改善に効果的とされていますが、それ以外にも自分でできる確認方法や医療的な対処法があります。
ここでは、ピル以外の方法による生理不順の対処法を解説します。
妊娠検査薬を使用する
生理が予定よりも遅れている場合、妊娠の可能性が考えられると解説しました。性行為の機会があった場合は、避妊したとしても完全に妊娠を防げるわけではないため、念のため妊娠検査薬を使って確認してみましょう。
市販の妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から使用でき、比較的高い精度で判定可能です。
検査するタイミングは、できるだけ朝の尿を使用するとより正確な結果が出やすいとされています。また、検査結果にかかわらず基礎体温を測る習慣をもつと、排卵の有無や周期の傾向を把握する手がかりになります。
妊娠の兆候が見られないのに生理がこない場合でも、こうした記録は婦人科での診察時にも役立つ情報となります。
婦人科を受診する
妊娠検査薬で陰性だったにもかかわらず、生理が60日以上こない場合は自己判断せず、できるだけ早く婦人科を受診してください。ホルモンバランスの乱れをはじめ、無排卵や甲状腺の異常、早期閉経といった疾患が隠れている可能性もあるため、医師による正確な診断が欠かせません。
婦人科では問診に加え、超音波検査やホルモン値を調べる血液検査が行われ、必要に応じて治療や経過観察が始まります。今後妊娠を望む方にとっては、ホルモンの状態を正常に戻すためのタイミングを逃さないことが大切。
生理不順が長期化してしまう前に、専門医に相談することが、安心につながる第一歩です。
ピルは生理不順解消の有力な選択肢になり得る
今回は、生理不順の種類や原因、そしてピルによる改善効果について解説しました。
ピルはホルモンバランスを整えることで、生理のリズムを安定させる働きがあります。ただし、すべての人に適しているわけではないため、まずは婦人科で医師に相談し現状を伝え、適切に対応してもらいましょう。
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