ピルの服用を検討されている方に向けて、ピルの副作用について解説いたします。
ピルは避妊はもちろん、月経困難症やニキビの緩和にも用いられる内服薬です。
しかし、「副作用がひどいのは本当?」「飲んでも大丈夫?」と不安に思われる方が多いのも事実です。
そこで今回の記事では、ピルの副作用について詳しく解説していきます。
参考にしていただければ、副作用として起こり得る症状やがん・血栓症のリスクについてご理解いただけるはずです。
ピルの種類と効果
それではまず、ピルの種類とそれぞれの特徴について見ていきましょう。
ピルには8つの種類があり、種類ごとに特徴が異なるため目的にあったピルを選ぶようにしてください。
①シンフェーズ
「シンフェーズ」は第1世代とされる低用量ピルであり、さまざまな種類のピルの中で最初に開発されたものです。
妊娠の予防はもちろん、生理痛や月経時の出血量を和らげるのに役立つと言われています。
「サンデースタートピル」とも呼ばれ、日曜日から服用を始めれば、週末に生理が起こらないようになるとされることが特徴。
「ノルエチステロン」と呼ばれる黄体ホルモンを有効成分として使用しており、最も歴史が古い低用量ピルです。
②ルナベルLD
「ルナベルLD」はピルの中でも月経困難症の方に処方されることが多く、保険が適応される低用量ピルです。
シンフェーズとともに第1世代と呼ばれており、古くから承認を受けていました。
有効成分もシンフェーズと同じく「ノルエチステロン」ですが、さらに卵胞ホルモンも補充できるとされています[1]。
価格が抑えられているため、利用しやすい点がメリットです。
また、ピルの中では副作用が少ないとされています。
ちなみに「フリウェルLD」は「ルナベルLD」と製造会社が違うだけで、同じ成分の医薬品です。
③ルナベルULD
「ルナベルLD」よりも低用量であるのが「ルナベルULD」です。
「ルナベルULD」は超低用量ピルで、有効成分である「エチニルエストラジオール」の配合が0.015mg少なくなっています[1]。
特徴としては「ルナベルLD」と同じで、価格が安く導入しやすいことがメリットです。
しかし、「エチニルエストラジオール」の配合が少ないことにより、同じピルでありながらより副作用が起きる可能性が低いとされています。
④トリキュラー
3相性ピルとよばれるのが「トリキュラー」で、内服期間に合わせてホルモンの量を増減していることが特徴です。
1週間ごとにホルモンの量が変わるよう工夫されており、そのため1周期に対する「エチニルエストラジオール」の使用料が少なくなっています。
「エチニルエストラジオール」の少なさから、副作用が比較的軽い傾向にあるとされています。
「ラベルフィーユ」と呼ばれるピルは「トリキュラー」のジェネリック医薬品であり内容は同じです。
「シンフェーズ」や「ルナベル」よりも後発であり、第2世代ピルと呼ばれます。
⑤ジェミーナ
「ジェミーナ」は生理痛緩和の目的で処方されることが多い超低用量ピルです。
保険適応対象の医薬品であるため、費用をかけずにピルを用いたい方に適しているでしょう。
「トリキュラー」と同じく第2世代ピルですが、1周期のホルモン量が一定であることが大きな違いと言えます。
「エチニルエストラジオール」の配合量はルナベルULDと同じです[2]。
3か月間連続で投与可能であり、副作用が少ないピルであるとされるため使いやすいでしょう。
ただし、価格が高く継続するにはコスト的負担が大きくなります。
⑥マーベロン
ニキビに悩む女性に広く処方されるのが「マーベロン」と呼ばれる低用量ピルです。
第3世代ピルであり、シンフェーズやトリキュラーよりも近年になって開発されました。
「ファボアール」はジェネリック医薬品であり、成分は「マーベロン」と変わりません。
ホルモン量は21日間変わらず、「マーベロン21」と「マーベロン28」の2種類があります。
また、マーベロンの中でも緑色の錠剤には有効成分が含有されていません。
白色の錠剤を21日間服用してから、緑色の錠剤を7日間服用するサイクルであることが大きな特徴です。
緑色の錠剤を服用する期間は休薬期間で、7日間が終わったらまた白色の錠剤を21日間服用するサイクルを繰り返します。
⑦ヤーズ
第4世代ピルである「ヤーズ」は、子宮内膜症や月経困難症の治療に用いられるケースが多く見られます。
ニキビやむくみに悩んでいる方に適しているとも言われる低用量ピルです。
「ドロエチ」は「ヤーズ」のジェネリック医薬品であり、成分は変わりません。
有効成分には黄体ホルモンと卵胞ホルモンが混合されています。
ホルモンがあまり変動しないため、副作用が少ないとされている点がメリットです。
⑧ヤーズフレックス
「ヤーズフレックス」も第4世代の低用量ピルであり、4か月の連続投与が最大の特徴と言えるでしょう。
効き方や副作用の傾向については「ヤーズ」と大きく変わりません。
「ヤーズ」と服用方法が違うだけのピルであると考えてください。
副作用が少ない可能性があること、男性ホルモンの作用がないことが女性にとってうれしいポイント。
しかし、価格は低用量ピルの中では最も高いため、コスト的負担が大きくなるでしょう。
ピルの副作用
それではピルの副作用についてご紹介していきます。
ピルの種類によって起こり得る副作用は変わりますが、よく起きる5つの症状について見ていきましょう。
副作用①吐き気
ピルの副作用として多いのが吐き気です。
日常生活に支障をきたすほどではないでしょうし、一時的であることが多いでしょう。
ホルモンバランスの変化により、身体が妊娠に近い状態になることが原因であるとされます。
しかし、吐き気が引き起こされる可能性は高く、むねやけやむかつきが感じられるかもしれません。
副作用②眠気
服用を始めるとホルモンバランスが変化して、眠気が強くなることがあります。
ピルの副作用としては引き起こされる確率が低いとされますが、運転などに注意が必要でしょう。
副作用のリスクが低いピルであれば、ほとんど感じられないはずです。
副作用③下痢・便秘
下痢や便秘など、腸への副作用が見られることもあります。
服用直後に見られることが多いですが、ピルを飲み慣れてくると少しずつ治まっていくでしょう。
しかし、ピルの副作用として下痢や便秘がある場合、作用が低下している可能性があることに注意してください。
下痢によって有効成分が排出されてしまうことが考えられるため、担当医師に相談されることをおすすめします。
副作用④不正出血
ピルの服用を始めたころに見られるのが不正出血です。
ホルモンバランスの変化に身体がついていけないことが原因であると考えられています。
特に3相性のピルで起こりやすいでしょう。
特に心配する必要はありませんが、もし長く続くようであれば医師に相談をしたうえで検査を受けてください。
副作用⑤胸の張り
胸が張るような感覚を覚える方も少なくありません。
ひとつめの副作用としてご紹介した吐き気と同じように、妊娠状態であると身体が勘違いすることによって起こります。
服用を継続することで徐々に症状が軽減される可能性があります。
ピルを飲むと血栓症になりやすい?
ピルを服用すると副作用として血栓症のリスクがあると報告されています。
厚生労働省の「医薬品・医療機器等安全性情報」によると、約3年の間に140例の血栓症関連の副作用が報告されました。
出典:厚生労働省:(PDF)月経困難症治療剤ヤーズ配合錠による血栓症について
対象となったピルは「ヤーズ」で、発売開始から3年の間の副作用でした。
上記の報告を見ると、ピルを服用することで血栓症のリスクが高まると考えられます。
しかし、中にはピル服用以外の理由で血栓症が引き起こされた方もいたかもしれません。
ピルに限らず、どのような医薬品にも副作用のリスクはあることでしょう。
服用によって血栓症のリスクは高まる可能性がありますが、医薬品を服用することを考えれば、極端に高いリスクとは言えないと考えられます。
ピルの副作用とがんの関係
ピルを服用することにより、子宮頸がんと乳がんの発症リスクが高まるとされています。
【ピルの副作用とがんの関係】
- 子宮頸がん:1.3~2.1倍
- 乳がん:1.24倍
出典:厚生労働省:経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ
上記の報告によると、ピルはがんの発症リスクをわずかに高める副作用があると考えられるでしょう。
しかし、「エチニルエストラジオール」の影響によってリスクが高まるとも言われています。
「エチニルエストラジオール」の配合が少ないもしくは無配合のピルを服用すればリスクを避けられるかもしれません。
副作用を知って安全にピルの服用を
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、ピルの副作用についてご理解いただけたと思います。
ピルには吐き気や不正出血などの副作用があり、血栓症やがんのリスクをわずかに高めるとも言われています。
わたくしどもLadies clinic LOG 原宿は「女性の健康維持への貢献」をモットーとするクリニックです。
サポートチャットで24時間後相談いただける体制を整え、ピルの副作用にも対応できる体制を整えております。
副作用に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
[1]
参照:医薬品医療機器情報提供ホームページ:(PDF)ルナベル配合錠LDルナベル配合錠ULD
[2]
参照:医薬品医療機器情報提供ホームページ:(PDF)ジェミーナ配合錠
渋谷・原宿・明治神宮前・表参道の婦人科・産婦人科 - LOG原宿
診察のご予約はこちら