ピルを服用したいと思われている方、現在服用している方に向けて、ピルの正しい服用方法について解説していきます。
ピルは避妊に効果があり、月経期間の調整にも用いられるなど、女性にとって頼れる医薬品です。
しかし「いつから服用すればいい?」「どうすれば確実な効果が得られる?」と疑問に思われている方も少なくありません。
そこで今回の記事では、ピルの正しい服用方法について種類ごとに解説します。
飲み忘れたときの対処法も掲載していますので、「参考にすることで、ピルの服用に関する不安や疑問を解消できるはずです。
主なピルの種類と特徴
服用方法について確認する前に、まずは主なピルの種類と特徴について把握しておきましょう。
ピルには次のように3つの種類があります。
①低用量ピル
低用量ピルとは、エチニルエストラジオールが30~40μg含有されているピルのことです[1]。
エチニルエストラジオールとはエストロゲンと呼ばれるホルモンを誘導する成分のことで、ピルの効果の高さにも影響します。
主に避妊・肌荒れ改善・PMS改善などに用いられるピルです。
最も一般的に用いられており、副作用のリスクは低いものの、効果に個人差があるとされています。
②中用量ピル
中用量ピルとは、エチニルエストラジオールを50μg含有するピルのことを指します[1]。
低用量ピルよりも治療目的で用いられることが多く、月経移動に用いられることがほとんどです。
避妊や月経困難症などに用いられることはあまりありません。
エチニルエストラジオール含有量の多さから、低用量ピルよりも効果が現れやすいとされています。
しかし同時に副作用が現れるリスクも高いため、常用をする目的では利用されません。
③アフターピル
アフターピルとは、含有される黄体ホルモンの効果により妊娠を防ぐためのピルです。
緊急避妊薬であり、性交渉の後に服用することで妊娠を避ける可能性を高めます。
72時間以内に服用することによって、高い確率で妊娠を予防する効果を得られるタイプのピル[2]。
100%避妊できるわけではありませんが、服用が早いほど効果が高く、12時間以内であれば99%以上の効果が期待できるとされています。
アフターピルはピルとは言え、他のピルとは使い方や用途が異なります。
性交渉での避妊に失敗した場合などに有用でしょう。
低用量ピルの服用方法
ピルの種類の中で最も一般的に処方される低用量ピル。
どのように服用するのか、服用方法について見ていきましょう。
服用スケジュール
まずは服用スケジュールから解説します。
低用量ピルには21錠タイプと28錠タイプの2種類があり、種類によって服用スケジュールが次のように変わります。
21錠タイプ
21錠タイプのピルの服用方法は以下のとおりです。
【服用方法】
- 21日間服用する
- 7日間飲むのを休む
- 7日間休んだ後また21日間服用する
1か月の間に21日しか服用しないタイプが21錠タイプのピルの服用方法です。
21日間服用した後は、ご自身で7日間の休薬期間を設けなければなりません。
服用開始を忘れてしまう点がデメリットです。
しかし21錠のホルモン配合量がすべて同じであるため、服用する順番を誤ってしまったとしても問題ないことがメリットです。
このように21錠タイプは、21日間服用し7日間休薬する点が特徴です。
28錠タイプ
28錠タイプのピルの服用方法は次のとおりです。
【服用方法】
- ピルを21日間服用する
- 22日目から28日目は空の錠剤を服用する
- 29日目からは再びピルを服用する
原理は21錠タイプと同じです。
しかし21錠タイプだとご自身で休薬期間を設けなければならず、休薬期間が明けた後に飲むのを忘れてしまうこともあるでしょう。
そのため28錠タイプは、毎日必ず1錠を服用できるように有効成分が含有されていない錠剤が含まれています。
つまり最初の21日間はピルを服用し、最後の7日間は有効成分を含まない錠剤を服用するイメージです。
「毎日飲む」ことを習慣づけていれば、飲むのを忘れることは少なくなります。
そのため28錠タイプは、毎日服用することが習慣となっていればただ飲み続けるだけでピルの効果が発揮されます。
ただし順番を誤ると、服用が必要な日に有効成分を含まない錠剤を飲んでしまう可能性があります。
順番を間違えないようにすれば、服用忘れもない便利なピルです。
飲み始め方
ピルは月経開始1日目もしくは月経開始後の日曜日から飲み始めるのが一般的です。
月経初日から開始する方法を「Day1スタート」と呼び、日曜日から飲むのを始める方法を「Sundayスタート」と呼びます。
服用のタイミングによって効果も変わってくるため、ピルの服用方法のポイントのひとつとして知っておきましょう。
それではそれぞれの服用方法について詳しく解説します。
Day1スタート
月経開始日から始めるピルの服用方法がDay1スタートです。
Day1スタートでは飲むのを開始した当日から避妊効果が発揮されるため、即効性を求める方におすすめ。
正しくは「月経1日目~5日目」に飲むのを始める方法のことを指します。
ピルを服用し始める場合は、Day1スタートが一般的です。
ピルの効果をできるだけ早く実感したい場合は、Day1スタートをおすすめします。
Sundayスタート
Sundayスタートは、月経が始まって最初に迎えた日曜日から飲むのを開始する方法です。
Sundayスタートでは飲むのを開始してから1週間ほど経たなければ避妊効果は発揮されないとされています。
これはホルモンバランスを安定させるのが難しいためとされています。
しかし「日曜日に飲み始めた」との意識を持っておけば、ピル服用のスケジュール管理が容易になることがメリットといえます。
服用管理のしやすさを重視する方に適した方法です。
中用量ピルの服用方法
それでは続いて、中用量ピルの服用方法について見ていきましょう。
中用量ピルは低用量ピルとは違い、月経移動のために用いられることが多いピルです。
大会や旅行などのイベントに合わせて、月経を移動させる目的で用いられます。
そのための方法についてご紹介します。
月経を早める場合
月経を早めたい場合の中用量ピルの服用方法は次のとおりです。
【服用方法】
- 前回の月経開始から5日目までに飲むのを始める
- 今回の月経を始めたい日の2~3日前まで飲むのを続ける
中用量ピルで月経を早めたい場合は、早めたい月経の前の月経が開始されてから5日目までに服用を始めなければなりません。
ピルの服用をやめると月経が始まってしまうため、月経を開始させたい日の2~3日前まで服用してください。
以上の服用方法によって、月経を早められます。
月経を遅らせる場合
続いては月経を遅らせたい場合の服用方法をご紹介します。
【服用方法】
- 月経開始予定日の5日前から飲むのを始める
- 今回の月経を始めたい日の2~3日前まで飲むのを続ける
月経を遅らせたい場合は、近々開始される月経の5日前から飲むのを始めましょう。
そして月経を避けたい期間はずっと服用を続けてください。
月経がきても支障のない時期になったら、希望する開始日の2~3日前に服用をやめることで月経が訪れます。
アフターピルの服用方法
アフターピルの服用方法は、性交渉後から72時間以内に1錠服用するだけです。
常用する必要はなく、緊急時にのみ使用されます。
ただし服用する時間が早ければ早いほど効果が高いとされています。
そのため処方されたらできる限り早めに服用しましょう。
また性交渉後120時間以内の服用で避妊効果が発揮されるアフターピルもあります。
医療機関によっては120時間タイプのアフターピルを取り扱っている場合もあります。
ただし基本的には「72時間以内に」「早めに」服用することが最大のポイントです。
ピル飲み忘れ時の対応
ピルを服用し続けていると、どうしても飲むのを忘れてしまうことがあるでしょう。
決まった時間に服用することがピルの効果を引き出すポイントです。
もし服用をし忘れてしまったときのために、どのように対処すべきかパターンごとに解説します。
低用量ピル
まずは低用量ピルを忘れたときの対処法についてです。
1日飲み忘れた場合
24時間忘れた場合は、気づいた時点ですぐに服用してください。
その後は通常どおり服用を続けて問題ありません。
服用忘れに気づいた時間によっては1日2錠飲むことになるかもしれませんが、それでもそのまま飲むのを続けてください。
24時間以内であれば、そのまま継続しても効果は継続されます。
服用忘れに気づいたときに服用してください。
2日以上飲み忘れた場合
24時間を超えて忘れた場合は、飲み忘れた日数により対処法が変わります。
【対処法】
- 2錠分の服用忘れ:気づいたときにすぐに服用し、その後はそのまま飲むのを続ける
- 3錠分の服用忘れ:飲むのをやめて、月経を待ち新しいシートから再び服用を開始する
2錠分(2日分)の服用忘れであれば、そのまま飲むのを継続できます。
しかし3錠分(3日分)以上服用を忘れてしまった場合は、効果は発揮されません。
月経がくるのを待って、また新たにスタートしてください。
中用量ピル
それでは中用量ピルを飲み忘れた場合について見ていきましょう。
1日飲み忘れた場合
24時間以内に飲み忘れたことに気づいたら、気づいた時点で服用するようにしてください。
そして次の日以降も、今までどおり服用すれば大丈夫です。
2日以上飲み忘れた場合
24時間以上飲み忘れたことに気づいたら、服用忘れの分も含めて2錠を服用しましょう。
当日の分と前日の分をまとめて服用します。
そして次からは、予定通りに服用するようにしてください。
ただし2日以上飲み忘れると、避妊効果は低下します。
医療機関を受診するなどして、医師に相談しましょう。
ピル服用時の注意点
ピル服用時には、副作用の可能性に注意が必要です。
頭痛や吐き気、胸の張り、むくみなどが一般的ですが、人によっては血栓症やアナフィラキシーが起きることもあります。
体調が優れない場合や異常な症状が見られる場合は、処方を受けた医療機関に相談することをおすすめします。
ピルは服用方法を守って服用を
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、ピルの服用方法についてご理解いただけたと思います。
ピルは種類により服用方法が異なるもの。
種類ごとの正しい服用方法を守ることが、効果を実感するための最大のポイントです。
Ladies clinic LOG 原宿では、女性の健康を守ることをモットーとしています。
さまざまな種類のピルを取り扱っていますが、患者様の健康と要望を満たせるように服用方法を含めたアドバイスを実施。
そのうえでご提供いたしますので、ピルをお求めでしたらぜひお気軽にご相談ください。
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[1]
参照:JSTAGE:(PDF)低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン
[2]