子宮内膜ポリープ | 症状や治療について

子宮内膜ポリープとは

子宮内膜ポリープとは、子宮の内側を覆う子宮内膜から発生する良性のポリープです。子宮体部の内腔に向かってポコッと突出するように育ち、子宮内膜ポリープの大きさの多くは1cm前後で、小さいものでは直径1cm未満、大きいものでは数cmに達します。

発症年齢は20代から閉経前後まで幅広く、特に妊娠を希望する若い世代にも見られることがあります。基本的には良性(がんではない)ですが、ごく稀に悪性のケースや、ポリープに早期の子宮内膜がん細胞が含まれるケースも報告されています。

実際、病理検査では0.8~8%程度の頻度でポリープに悪性所見が認められたとのデータもあります。ただし悪性は稀なので過度に心配しすぎる必要はありません。念のため、ポリープを切除した際には顕微鏡で細胞を詳しく調べ、万一悪性細胞が見つかった場合は早期に追加治療を行います。

悪性の可能性

基本的には良性の疾患ですが、放置すると悪性への転化の原因になります。

内膜ポリープの大きさが13mmを超えると悪性腫瘍の可能性が1%程度あると報告されています。悪性化の判断は事前の検査で判断することは難しく、組織診断が必要になります。

そのため、10mmを超えるような内膜ポリープであれば切除することをお勧めします。

子宮ポリープ

子宮ポリープ子宮ポリープを健康診断で指摘された、という方が多くいらっしゃいます。子宮の構造は3つに分けられています。子宮の出入り口である子宮頸部、子宮の真ん中である子宮体部、子宮の一番奥の部分である子宮底部に分けられています。

子宮内には発生場所の違いによって主に2種類のポリープができます。以下で子宮頸管ポリープ子宮内膜ポリープの違いについて解説します

当院では、両方の子宮ポリープの手術が可能です。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管ポリープとは、子宮の入口にあたる頸部(けいぶ)にできるポリープです。肉眼的には赤い小さな乳頭状の突起として見えることが多く、成因にはヒトパピローマウイルス(HPV)の関与が指摘されています。

子宮頸管ポリープも不正出血の原因になる点や、多くが良性である点は子宮内膜ポリープと共通しています。しかし、頸管ポリープの場合は悪性化する可能性が極めて低く、小さいものや症状がないものは経過観察になることがほとんどです。ポリープが大きい場合や場所によっては、ごく稀に精子の通過を妨げたり炎症・感染を引き起こすことがあります。

また、ポリープが露出しているため性交時や運動時の接触で出血しやすいのも特徴です。症状としては性交後や排便時の出血、おりものへの血液混入などが挙げられます。

基本的には外来で短時間で切除可能な簡単な処置で、痛みもなく除去できます。子宮頸管ポリープの切除は保険診療で行われ、3割負担の場合は数千円程度と比較的負担も軽い処置です。

子宮頸管ポリープについては以下のページで説明しています。

子宮頸管ポリープ

子宮内膜ポリープ

子宮内膜ポリープは子宮腔内にできるポリープであり、先述の子宮頸管ポリープとは発生場所が異なります。内膜ポリープは子宮内膜から発生するため子宮の奥に隠れており、直接目視できません。そのため、発見には超音波検査子宮鏡検査が必要になります。

症状が出にくい一方で、不正出血や月経異常(経血量の増加や月経期間の延長)を引き起こす点が特徴です。特にポリープが閉経後にある場合、少量でも出血が見られたときは注意が必要です。

また、子宮内膜ポリープは子宮腔内で精子や受精卵の動きを妨げたり、着床の場所を占領することがあり、不妊症の原因となることがあります。前述のように妊娠を望む方ではポリープがあれば治療が推奨されるケースが多いです。

さらに、子宮内膜ポリープは非常に稀ですが悪性のものや初期の子宮内膜癌が紛れている場合もあるため、確定診断と症状改善を目的に切除手術が行われることも少なくありません。切除したポリープは病理検査で詳細に分析し、悪性所見がないか確認します。このように子宮頸管ポリープと比べて、子宮内膜ポリープは妊娠や全身の健康への影響が大きいため、積極的な検査・治療が検討される傾向にあります。

子宮内膜ポリープの原因

子宮内膜ポリープの発生にはさまざまな要因があり、正確な原因を特定するのは難しいのが現状です。 
そのなかでも、関連性が高いといわれているのが、エストロゲンとプロゲステロンとよばれる2つの女性ホルモンです。 

エストロゲンには子宮内膜の肥厚を促すはたらきがあり、一方のプロゲステロンはその作用を抑える役割を担っています。
この2つのホルモンのバランスが崩れてエストロゲンが過剰に分泌されることで、子宮内膜の一部が異常に成長してしまい、ポリープを形成するケースがあります。 

また冒頭でもお伝えした通り、子宮内膜ポリープが発生する原因はエストロゲンの過剰分泌だけではありません。
以下で子宮内膜ポリープの発生に起因する症状や状態を紹介します。 

【子宮内膜ポリープが発生する原因の例】 

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 加齢
  • 遺伝
  • タモキシフェン(乳がん治療薬)の服用

2つの女性ホルモンと上記のさまざまな要因が複雑に絡み合い、その影響で子宮内膜ポリープの形成が促されます。 

子宮内膜ポリープの症状

子宮内膜ポリープが形成された場合、以下のような症状が表れるケースがあります。 

【子宮内膜ポリープの症状の例】 

  • 不正出血
  • 生理の長期化
  • 生理の出血量の増加
  • 閉経後の出血
  • 不妊症
  • 貧血によるめまいや倦怠感

上記の症状がみられる場合は早めに医師に相談して必要な治療を受けましょう。 

また子宮内膜ポリープの症状には個人差があり、なかには無症状の方もいます。
気付かないうちにポリープが形成されている可能性も否定できないため、定期的に検査を受けることが大切です。 

子宮内膜ポリープの治療の必要性

子宮内膜ポリープは自然になくなることはありません。放置すると健康リスクが生じる恐れがあります。

子宮内膜ポリープは妊娠成立時に受精卵の着床を阻害します。これにより妊娠がしづらい状態になり、不妊症になります。

また、妊娠が成立しても流産や早産の危険性が生じることになります。子宮内膜ポリープは生理周期に影響を与え、不正出血や過多月経などを起こします。

重症化すると子宮内膜ポリープが増大し、出血量が多くなり貧血が進行して輸血が必要になることもあります。

子宮内膜ポリープの検査方法

子宮内膜ポリープの検査には以下のような方法があります。痛みがほぼないため、検査のための麻酔は通常必要ありません。

超音波検査

超音波超音波を使用して子宮内にある内膜ポリープが認められることがあります。

生理周期により内膜ポリープの見やすさが異なります。

生理が終了した直後~排卵の前までは、子宮内を観察しやすい時期になりますので、子宮内膜ポリープを検出しやすくなります。

料金は保険適用で約1,600円です。

超音波検査

ソノヒステログラフィー

子宮内に細い管を通し、生理食塩水を注入させ、子宮腔を膨らませます。
内膜ポリープがあれば、超音波で子宮内腔に突出するポリープが観察されます。

料金は保険適用で1,780円です。

子宮鏡検査

外径の細い軟性鏡や硬性鏡を使用して子宮内を直接モニターに映し出すことにより、病変の大きさや位置を正確に観察することができます。

料金は保険適用で1,900円です。

子宮鏡検査

子宮内膜ポリープの手術方法

子宮内膜ポリープの手術はお腹を切るような手術ではなく、経膣的にアプローチする手術です。

手術は子宮鏡で行います。以前は入院手術が主流でしたが、現在は日帰りで手術を行うこともできます。

当院での子宮内膜ポリープの子宮鏡手術については、以下のページで説明しています。

内膜ポリープの日帰り手術

入院手術について

子宮内膜ポリープの手術では細い硬性鏡を使用して手術を行います。専用のシェーバーなどを使用するため短時間で手術を終わらせることができ、術後もそれほど出血が多くなりません。

必ずしも麻酔を必要とすることなく手術が可能です。手術を受ける方への身体的なダメージを軽減できるため、入院は必要ではなくなっています。

現代女性の生活スタイルからは、仕事や家事などで入院が困難な場合も多くあります。そのような方が多くいらっしゃいますので、日帰りで手術を選択する方は年々増加しています。

当院では内膜ポリープにたいして電動シェーバーによる切除が日帰り手術で可能な施設です。多発ポリープであっても短時間で終了することが可能です。

子宮内膜ポリープの検査と治療にかかる費用の目安

内容 料金
初診料 890円
再診料 380円
超音波検査 1,600円
ソノヒステログラフィー 1,780円
子宮鏡検査 1,900円

日帰り手術の流れ

子宮鏡下内膜ポリープ切除の回復期間は個人差がありますが、一般的には以下のような経過をたどります。

手術直後

手術後、麻酔が切れるまでの数時間は痛みや不快感があることがあります。
安定した状態になるまで休息が必要です。

退院後

通常は日帰り手術なので、退院当日は自宅で過ごします。翌日からは仕事への復帰も可能です。

1~2週間後

軽い生理痛のような痛みや少量の出血が続くことがあります。痛みや出血は徐々に軽減します。

軽い運動などは再開できる場合がありますが、無理をせずに行動してください。
重い運動や激しい活動をすると出血量が多くなることがあるため、無理のないように生活することが必要です。

通常は2週間程度で完全に回復します。

医師のフォローアップ

手術後に定期的に医師の診察を受け、術後の状態を確認します。

症状が改善しているかどうかを確認し、必要に応じて追加の治療を行います。
手術後の回復期間は個人の体質や症状によって異なります。

東京都渋谷区神宮前6-28-6 キュープラザ原宿3F

院長紹介

院長

清水拓哉

経歴

  • 杏林大学医学部卒業
  • 筑波大学附属病院初期研修
  • けいゆう病院後期研修
  • 横浜総合病院などで勤務した後に開業

資格

  • 日本産婦人科学会専門医
  • 産婦人科内視鏡技術認定医

所属学会

  • 日本産婦人科学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会
  • 日本子宮鏡研究会

手術実績(通算)

  • 腹腔鏡手術・700件以上
  • 開腹手術・150件以上
  • 帝王切開・300件以上
  • 分娩(経腟分娩)・1000件以上

当院のコンテンツ作成について

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当ページは、医療広告ガイドラインを遵守し、当院の医師による監修のもと掲載しています。
皆さまに正しく役立つ情報をお届けするため、記事の企画は当院で行い、執筆は外部の提携ライターに依頼しています。
完成した記事は当院ドクターが医学的な正確性を確認し、さらに薬事法に抵触しないか専門機関によるチェックを経て公開しています。

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