ピルは避妊の用途でも使用される女性ホルモン剤ですが、服用することで妊娠の可能性がゼロになるわけではありません。
飲み忘れや薬との相互作用などによって効果が弱まることがあります。
ここでは、妊娠を避ける目的でピルを使用している方に向けて、妊娠の可能性がどの程度あるのか、また効果が不十分になる要因について解説します。
この記事では、ピル服用時の注意点や妊娠を疑うべきサインについて理解できます。ぜひご覧ください。
ピルを飲んでいても妊娠する可能性はある?
ピルは、正しく服用することで高い避妊効果を得られます。
しかし、100%妊娠しない保証があるわけではありません。
ここでは、きちんと服用できている場合と、飲み忘れがあった場合の妊娠確率の違いについて解説していきます。
毎日きちんと飲んでいる場合の妊娠確率
日本産科婦人科学会によれば、毎日欠かさず決められた時間に服用した場合、1年間で妊娠する確率は約0.3%とされています。
これは約333人に1人の割合にあたり、99%以上の避妊効果があることを示しています。
ただし、ピルを使用しても妊娠を完全に防ぐことはできない点を理解しておく必要があります。
参考:(PDF)日本産科婦人科学会:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)[PDF]
飲み忘れがあった場合の妊娠確率
ピルを正しく服用していても、飲み忘れることはあります。
1年間のうちにこのような飲み忘れが続くと、日本産科婦人科学会の発表では、1年間に妊娠する確率が約8%にまで上がるとされています。
つまり、12~13人に1人が妊娠する可能性がある計算です。
飲み忘れがあっても一定の避妊効果はありますが、毎日きちんと飲んでいる場合と比べて妊娠のリスクが高まる点を十分に認識しておくことが大切です。
参考:(PDF)日本産科婦人科学会:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)[PDF]
ピルを飲んでいても妊娠するケース
ピルを飲んでいても妊娠するケースはいくつかあります。
飲み方を間違えたときと、飲み合わせの悪い薬やサプリを服用した場合、ピルの効果が出る前に着床した場合、下痢や嘔吐で吸収されなかった場合です。
それぞれどのようなケースなのか確認していきましょう。
飲み方を間違えたとき
ピルは正しく服用しなければ十分な効果が得られません。特に、服用する順番や飲み忘れには注意が必要です。
飲む順番を間違えた場合
処方されるピルの種類によっては、順番に注意しなければならないものがあるため、注意が必要です。
ピルは、休薬期間や偽薬を含む28日分が1シートにまとめられており、1相性・2相性・3相性の3種類に分類されます。
どの分類かによって錠剤に含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量が異なります。
1相性では飲む順番は決まっていませんが、2相性や3相性の場合は、錠剤ごとにホルモンの配合が2段階または3段階で変わるため、決められた順番で正しく服用しなければなりません。
誤った順番で服用すると、効果が不十分になる可能性があり、体調に影響を及ぼす場合もあるため注意が必要です。
飲み忘れた場合
仮に1回でもピルを飲み忘れるとホルモン濃度が一時的に下がった状態になり、排卵が起こる可能性があります。
もしも飲み忘れたのが前回服用してから24時間以上48時間未満であれば、気づいたタイミングですぐに飲みましょう。
一日の飲み忘れであれば気づいた時点ですぐに服用することでカバーできるとされています。
なお、飲み忘れに気づいたその日の分のピルも通常通り服用し、1日2錠飲む形です。
それ以降は通常通り服用を続けましょう。
もしも最後の服用から48時間以上経過した場合は、ピルを飲み直しても避妊効果が大きく低下してしまいます。
自己判断で継続するのは好ましくないため、医師に報告して対処法を確認してみてください。
飲み忘れを防ぐためには、自分にとって飲みやすいタイミングを継続して固定することが大切です。
ピルを飲むのが習慣になるまではスマホのアラームなどを活用し、忘れないよう工夫して継続することが有効です。
飲み合わせの悪い薬やサプリを服用した場合
一部の薬やサプリメントの中には、ピルに含まれているホルモンの働きを弱めるものがあります。
そういった薬・サプリを服用した場合は、ピルの避妊効果が十分に得られないことがあるため、注意が必要です。
特に注意が必要なのは、一部の薬剤です。
抗生物質や抗てんかん薬などはピルの避妊効果を弱めることがあります。
継続して飲んでいる薬がある場合は、必ずピルを処方してもらう医療機関で医師に相談しておきましょう。
また、ピルの効果や、服用しているほかの薬の効果を強めてしまう薬もあります。
その場合、副作用のリスクが高まることがあります。
自己判断で「この薬(サプリメント)は関係ないだろう」と判断するのは好ましくありません。
場合によっては薬の変更やピルの服用を中止することについても検討が必要です。
ピルの効果が出る前に着床した場合
ピルを飲み始めてすぐに高い避妊効果が得られるわけではありません。
服用開始直後の1週間程度は避妊効果が安定していないため、すでに排卵していた場合は着床する可能性があります。
気になることや不安がある場合は早めに医師に相談しましょう。
下痢や嘔吐で吸収されなかった場合
ピルは服用した成分が体に吸収されて効果を発揮するものなので、吸収前に下痢や嘔吐によって体外に排出されると避妊効果が下がります。
吸収までにかかる時間の目安は3時間程度なので、服用してすぐに下痢や嘔吐があった場合は注意が必要です。
医師からは気づいた時点で追加服用を指示される場合もありますが、自己判断は避け、必ず医師に確認することが求められます。
ピルを飲んでいても妊娠を疑ったほうがいいサイン
ピルを飲めば妊娠するのを100%防げるわけではありません。
以下の場合は妊娠の可能性を疑いましょう。
原因不明の不正出血がある
不正出血はピルの副作用としても現れますが、特に妊娠初期の出血である着床出血は生理と区別が付きにくいケースもあります。
普段と異なるタイミングや量の出血がある場合は、妊娠したことを知らせる着床出血である可能性もゼロではありません。
検査薬の使用や医師への相談によって、早い段階で確認することが望まれます。
予定日から1週間経っても生理が来ない
長期間ピルを服用する場合は、一般的に効果や副作用が強い中用量ピルよりも副作用が少なく長期使用に適した低用量ピルが選ばれます。
低用量ピルによって体内に女性ホルモンを取り入れることで排卵が起こらなくなるのですが、休薬期間中は軽い生理(消退出血)が起こります。
休薬期間は、卵巣や子宮の働きを保ち、また妊娠していないことを確認するために設けられるものです。
通常は休薬期間中の2~3日目に消退出血がありますが、1週間経っても確認できない場合は妊娠の可能性を疑う必要があります。
吐き気などの症状がある
吐き気や胃のムカつきがある場合、つわりの症状である可能性が考えられます。
ピルの副作用でも同様の症状が現れることから判断が難しいところではありますが、気になる場合は妊娠検査薬や医師の診察で確認しましょう。
ピル服用中の妊娠の可能性を理解し正しく対処しよう
いかがでしたでしょうか?
今回はピルを服用していても妊娠する可能性があるのか、どのような場合に妊娠の可能性が高まるのかなどについて解説しました。
妊娠を疑うべきサインについても、理解が深まったはずです。
ピルを服用していても妊娠の可能性はゼロではなく、薬やサプリメントとの飲み合わせによって効果が弱まる場合があります。事前に確認し、適切に対応することが重要です。
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初めてピルを処方される方で不安がある場合なども、ぜひお気軽にご相談ください。