ミレーナをやめた理由で多いものとは？挿入後について解説

ミレーナをやめた理由にはどのようなものが多いのでしょうか。ミレーナは高い避妊効果で知られる子宮内避妊具（IUS）ですが、挿入後の体調変化に不安を感じる方もいます。

本記事では、ミレーナの概要や使用をやめた人の理由、さらにメリット・デメリットについて解説します。ミレーナの利用を検討中の方、あるいは既に装着していて不安がある方に向けて、ミレーナの良し悪しと注意点をわかりやすく解説します。

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ミレーナ（避妊リング）とは？

（出典元：バイエルベターライフナビ「ミレーナ52mgとは」）

ミレーナ（Mirena）は子宮内に装着するタイプの避妊具です。小さなT字型の柔らかいプラスチック製の器具で、子宮内に留置すると黄体ホルモン（レボノルゲストレル）を持続的に放出します。このホルモンの作用で子宮内膜を薄く保ち、受精卵の着床を防ぐことで避妊効果を発揮します。また、子宮頸管の粘液を粘稠にして精子が子宮内に進入しにくくする働きもあります。避妊効果の持続期間は最長で約5年間で、一度装着すれば長期にわたり効果が続くのが特徴です。

もともとは避妊目的で開発されたミレーナですが、月経困難症（生理痛）や過多月経（生理の出血量が多い症状）の改善にも有効であることが認められています。そのため、2014年以降日本では過多月経や月経困難症の治療目的でミレーナを使用する場合は健康保険が適用されるようになりました。妊娠・出産の予定が当面ない方や、生理痛や経血量の多さに悩む方にとって、ミレーナは避妊と生理管理を両立できる選択肢として活用されています。

関連記事：ミレーナとは？効果や挿入するメリット・デメリット、副作用を解説

ミレーナをやめた人の理由は何？

ミレーナは便利な避妊法ですが、中には使用を途中でやめたくなる方もいます。

挿入後にミレーナをやめた主な理由として多いのは、装着直後から、少量の出血がダラダラと続く不正出血や下腹部の痛みです。ミレーナ装着後、子宮内膜が安定するまでの約3～6ヶ月間は生理周期が不規則になり、少量の出血が頻繁に起こったり生理の終わりが長引いたりすることがあります。
多くの場合、時間の経過とともに出血は落ち着き快適に過ごせるようになりますが、予想以上に長く不正出血が続くとストレスとなり、途中でミレーナを抜去する決断をする人も少なくありません。

その他の理由としては、ホルモンの影響による体調変化への不安や不満が挙げられます。具体的には、装着後に「体重が増えた気がする」「気分が落ち込みやすくなった」と感じてミレーナを外したいと考えるケースです。しかし、後述するようにミレーナ自体が体重増加やうつ症状を直接引き起こすという明確な根拠はなく、感じ方には個人差があります。

ほかに、「おりものの量やニオイの変化」を気にしてやめる例や、単純にライフステージの変化により、妊娠を希望するタイミングになったなどでミレーナを抜去する例もあります。

まとめると、ミレーナをやめた理由の多くは以下のようなものです。

理由	詳細
不正出血が長期間続いたため	挿入後の少量出血が何ヶ月も続き、煩わしく感じた
下腹部痛・違和感	装着後の腹痛や圧迫感が続き耐えられなかった
体重変化への不安	太った・痩せたといった体型変化を感じた
気分の落ち込み	ホルモン変化による情緒不安定やうつっぽさを感じた
おりものやニオイの変化	デリケートゾーンのにおい変化やおりもの増加が気になった
妊娠希望など状況の変化	子どもを望むようになった、または避妊の必要性がなくなった

 こうした理由からミレーナを中止する方がいますが、副作用の感じ方や許容度は人それぞれです。
不調を強く感じる場合は我慢せず医師に相談し、適切な対応（経過観察や抜去・他の治療法への変更）を検討すると良いでしょう。

知っておきたいミレーナの副作用

ミレーナは比較的安全性の高い避妊法ですが、体内にホルモン放出装置を留置するため副作用が起こる可能性があります。多くは一時的で時間経過とともに軽減する症状ですが、事前にどんな副作用があり得るか知っておくことが大切です。

以下にミレーナの主な副作用をまとめます。

 

月経周期・期間の変化

装着後、生理周期が不規則になったり、生理期間が延びたりすることがあります。特に最初の数ヶ月は少量の出血が頻発し、生理がだらだら続く傾向があります。通常これらは時間とともに落ち着きます。

月経以外の不正出血

生理予定日以外での少量の出血が起こる場合があります。こちらも装着初期によくみられる副作用で、通常は数ヶ月以内に治まります。

下腹部の痛み・違和感

子宮内に器具を入れる影響で、軽い腹痛や下腹部の圧迫感を感じることがあります。挿入直後から数日間や生理周期初期に起こりやすいですが、次第に改善することが多いです。

おりものの増加

ホルモンの作用や子宮内の異物刺激により、装着後しばらくはおりもの（膣分泌液）の量が増えることがあります。異常な色や強い臭いを伴わなければ心配はいりませんが、気になる場合は医師に相談してください。

頭痛・乳房の張り

一部の人に、ホルモンの影響で頭痛や胸の張り・圧痛が起こることがあります。これらも徐々に体が慣れるにつれ和らぐ傾向にあります。

気分変動：ホルモン変化に敏感な方では、イライラしやすくなったり気分の落ち込みを感じることがあります。ただしミレーナから放出されるホルモンは主に子宮内で作用するため、全身への影響は小さく、因果関係がはっきりしない場合もあります。

症状が続く場合は医師に相談しましょう。

体重変化

ミレーナの使用そのものが体重増加の直接原因になるという医学的根拠はありません。ホルモン量は微量で局所的な作用に留まるため、一般的には体重に大きな変化は起きにくいとされています。ただし人によってはホルモンの影響で一時的に食欲が増したり、水分を溜め込みやすくなったりして体重が増えたように感じることがあります。逆に食欲減退などで痩せるケースも報告されていますが、いずれも個人差が大きいと言えるでしょう。

卵巣のう胞（卵巣嚢胞）

ミレーナ装着中、卵巣に嚢胞（小さな腫れ物）ができることがあります。頻度は高くありませんが報告されており、多くは無症状で自然に消失します。超音波検査などで指摘された場合も、経過観察となることがほとんどです。

以上が主な副作用ですが、ごく稀に起こり得る重大な副作用（合併症）もあります。頻度は極めて低いものの、知識として押さえておきましょう。

骨盤内炎症性疾患（PID）

子宮内に器具を入れることで、まれに細菌感染が起こり骨盤内（子宮や卵管）の炎症を引き起こすことがあります。下腹部痛や発熱、おりものの異常（悪臭や膿状の分泌）が見られた場合は早急に受診が必要です。

子宮穿孔

ごくごく稀ですが、装着時または装着後にミレーナが子宮壁を傷つけ子宮に穴が開くケースがあります。穿孔が起こると激しい腹痛や出血を伴うため、直ちに医療処置が必要です。

異所性妊娠（子宮外妊娠）

ミレーナ装着中の妊娠自体まれですが、万が一妊娠した場合は正常な子宮内妊娠ではなく卵管など子宮外で妊娠が起こるリスクがやや高まります。下腹部の片側の痛みや出血は異所性妊娠の兆候の場合があるため注意が必要です。

重大な副作用は頻度が低いものの、「おかしいな」と感じる症状があれば自己判断せず速やかに医師に相談してください。定期検診でミレーナの位置や状態をチェックすることで、これら副作用の早期発見・対処にもつながります。

ミレーナのメリット・デメリット

ミレーナには上記のような副作用リスクもありますが、それを補って余りあるメリットもたくさんあります。一方で、避妊方法として特有のデメリットも存在します。
以下、ミレーナのメリットとデメリットです。

メリット	デメリット
○高い避妊効果 ○経血量や生理痛の軽減 ○長期間効果が持続 ○手間がかからない ○副作用が比較的少ない	●医療機関での処置が必要 ●挿入時の痛み ●装着後数ヶ月に不正出血が起きる可能性 ●5年ごとの交換が必要 ●まれな合併症のリスク

上記のように、ミレーナは避妊効果の確実さや生理トラブルの軽減といった大きなメリットがある一方で、医療行為が必要な点や初期の副作用などのデメリットもあります。

費用面では、避妊目的のみの場合は自費診療で本体と処置に数万円程度かかりますが、長期間使えるため1年あたりに換算すれば経口避妊薬などより安価になる場合もあります。また、月経困難症など治療目的であれば保険適用となり費用負担を抑えられます。

こうした点も考慮に入れて、自分にとってメリットがデメリットを上回るかどうか検討すると良いでしょう。

ミレーナを挿入することで期待できる効果

ミレーナを装着することで具体的にどのような効果が期待できるのかを整理します。

 

避妊効果が高い

ミレーナは1年間の妊娠率が約0.2%（避妊成功率99%以上）という高い避妊効果を持ちます。コンドームや低用量ピルよりも失敗率が低く、ほぼ避妊手術（不妊手術）に匹敵する確実性です。正しく装着されていれば挿入直後から効果が現れ、最長5年間は継続します。

受精卵の着床を防ぐ

ミレーナから放出されるホルモンによって子宮内膜が常に薄く維持されるため、受精卵が子宮内膜に付着して発育すること（着床）を防ぎます。これにより受精しても妊娠成立しにくい環境を作ります。

精子の侵入がしづらくなる

ホルモンの作用で子宮頸部の粘液が濃く変化し、精子が子宮内に上がっていきにくくなる効果もあります。精子の移動を物理的・化学的に阻害することで受精そのものも起こりにくくします。

経血量の減少・生理痛の緩和

ミレーナ装着後は多くの人で生理の出血量が大幅に減る傾向があります。人によっては経血がほとんど出なくなること（無月経）もあり得ますが、これは異常ではなくミレーナの効果の一つです。また、生理痛の原因となる物質の産生も抑えられるため月経時の腹痛や腰痛が軽くなることが期待できます。このため、過多月経や月経困難症で悩んでいた人ほど生活の質が向上する可能性があります。

局所作用で全身への影響が少ない

ミレーナのホルモンは主に子宮内で作用し、ごく一部しか血中に移行しません。そのためホルモン剤特有の全身副作用（吐き気、血栓症など）のリスクが低いとされています。

実際、ピルで副作用が出て服用を続けられなかった人がミレーナでは問題なく使用できているケースもあります。このように身体への負担が比較的少ない点もミレーナの重要な効果（メリット）です。以上のような効果により、ミレーナは「避妊」と「生理症状の軽減」を両立が期待できる方法と言えます。ただし、避妊効果が100%ではないことや、性感染症予防にはならないことも覚えておきましょう。

効果を最大限発揮し安全に使うには、定期検診を受けてミレーナが正しく留置されているか確認することも大切です。

（参照：独立行政法人医薬品医療機器総合機構『患者向医薬品ガイド ミレーナ 52mg（PDF）』

ミレーナに関するよくある質問

最後に、ミレーナに関してよく寄せられる疑問や不安についてQ&A形式でまとめます。ミレーナを実際に使用した人が感じる率直な疑問に答える形で、さらなる理解を深めましょう。

Q1. ミレーナをやめた理由で多いものは何ですか？

前述のとおり、最も多い理由は挿入後に不正出血が長く続くことと、それに伴う下腹部の違和感・痛みです。

ミレーナ装着初期の不規則な出血は珍しくありませんが、想像以上にダラダラ続くと精神的負担になるため、多くの方がこれを「やめたい」と感じる要因に挙げています。また、それ以外にも体重増加など体型の変化への不安、気分の落ち込みなど精神面の不調、おりものやニオイの変化などが理由としてしばしば挙がります。

さらに、ミレーナ自体に問題がなくても「妊娠を望むようになった」「5年の有効期限を迎えた」といったライフイベントの変化で中止するケースもあります。いずれにせよ、ミレーナの使用中に何か不安や不快な症状を感じたら一人で悩まず婦人科で相談してみることが大切です。

Q2. ミレーナの副作用で太ることはありますか？

ミレーナを装着したからといって直接的に太ることはないと考えられています。実際、ミレーナのホルモン量は少なく作用も子宮内に限局するため、「避妊リングを入れたら急に脂肪が増えて太った」というような医学的データはありません。

ただし、人によってはホルモンの影響で一時的に食欲が増したり、水分を溜め込みやすくなったりして体重増加を感じることがあります。この場合でも数値上の増加はごくわずかで、一過性であることが多いです。また、ストレスや年齢、生活習慣など他の要因で体重が変動することもあります。

5%未満の利用者に体重増加の報告があるというデータもありますが、必ずしもミレーナが原因とは限りません。急激に太ったりむくみが強く出るようなら別の原因も考えられるため、医師に相談してみましょう。

Q3. ミレーナの副作用で臭くなりますか？

ミレーナ自体が体臭やデリケートゾーンの臭いを悪化させるという確証はありません。装着によって月経量が減るため、経血のニオイが軽減され「生理中の臭いが気にならなくなった」という声もあるくらいです。一方で、ホルモンバランスやおりものの状態変化から「においの感じ方が変わった」と感じる方もいます。

もしミレーナ装着後に明らかに強い悪臭を感じる場合は、ミレーナのせいというより感染症（細菌感染や膣炎など）の可能性があります。特に、悪臭に加えて黄緑色のおりものや発熱・下腹部痛などの症状がある時は骨盤内感染症の疑いもあるため、早急に婦人科を受診してください。

まとめ

ミレーナは高い避妊効果と生理症状の改善効果を併せ持つ優れた避妊リング（IUS）です。約5年間という長期間にわたり妊娠を防ぎつつ、生理痛の軽減や経血量の減少といったメリットが得られるため、多くの女性にとって魅力的な選択肢となっています。実際、ピルの副作用が合わなかった人がミレーナでは快適に過ごせている例もあります。

しかし一方で、挿入直後の不正出血や腹痛など個人差のある副作用も存在します。特に初期の副作用が辛い場合、「ミレーナをやめたい」と感じることもあるでしょう。

体重増加や気分変動など心配される副作用の多くは医学的根拠が薄く、一時的な反応であるケースがほとんどですが、症状の感じ方は人それぞれです。大切なのは、不安や不調を我慢せず専門医に相談することです。医師と相談しながら経過を見ていけば、適切な対処法が見つかるかもしれません。

総合的に見れば、ミレーナのもたらす恩恵は大きく、初期の乗り越えるべき期間さえ過ぎれば快適な避妊ライフを送れる可能性が高いと言えます。ミレーナの使用を検討する際は、本記事で述べた「やめたくなる理由」や副作用、メリット・デメリットを参考に、自身の体調やライフプランに照らして判断してください。

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