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生理が来ない?それって多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)かも

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生理がこない?それって多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)かも?

妊娠可能な年齢の女性で生理が来ないときには妊娠を疑うと思いますが、妊娠以外でも生理が来ないことがあります。

原因は様々ですが、疑わしいもののひとつに多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があります。

実は多くの女性がPCOSになる可能性があります。

PCOSをご存知ない方も多いかと思いますので、今回はPCOSについて解説していきます。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは

PCOSはpolycystic ovarian syndromeの略称で、若い女性の20〜30人に1人がかかると推定されているホルモン疾患です。

症状としては、生理の不順、ニキビ、顔や体の多毛から不妊までさまざまな症状を引き起こします。

PCOSの原因と症状 

PCOSの原因や症状の個人差が大きい理由はまだ分かっていないことが多いですが、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンに抵抗性を示すことが原因の一つと考えられています。

患者様の中には肥満の人もいれば、やせている人もいる。

コレステロール値が非常に高い人もいれば、そうでない人もいる。

簡単に妊娠できる人もいれば、何年も不妊治療を受ける人もいるのです。

PCOSは、卵巣内部での男性ホルモンの分泌量が増加することも原因と考えられています。

具体的には、以下3つのポイントが関連しています。

ホルモンバランスの崩れ

脳からのホルモンと、卵巣からの女性ホルモンの分泌のバランスが崩れて、排卵が障害されます。

この結果、卵子が小さいまま成熟せず、正常な排卵ができなくなります。

遺伝的要因と環境要因

PCOSの発症には遺伝的素因や環境要因が影響していると考えられています。

ただし、具体的な原因はまだ完全に解明されていません

肥満

肥満がPCOSの誘因となることが知られています。

ただし、痩せている人でも発症することがあります。

PCOSの特徴的な症状には、生理周期が長い(38日以上)、続発性無月経(3ヶ月以上の月経の停止)などの生理の異常があります。

その他、にきび、多毛、肥満などがあります。

減量によって症状が改善することがあるため、肥満の人は現在の体重から10%程度の減量をすることが勧められます。

中高年ではメタボリックシンドロームや子宮体癌のための健康管理が必要となってきます。

PCOSの検査 

血液検査

PCOSの検査としては、女性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンと脳下垂体から分泌され、卵巣での卵胞の成熟、女性ホルモンの産生を促進させる卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)の血中濃度を測定します。

それ以外には、男性ホルモンであるテストステロン、糖尿病の検査として血糖値・HbA1cを測定します。

甲状腺機能低下症や亢進症、または、プロラクチンと言われる乳汁分泌に関わるホルモンが上昇していても生理が異常になりますので、そのホルモンの値も調べることもあります。

超音波検査

PCOSでは卵巣表層に小卵胞が多数認められます。
卵巣に少卵胞が多発しているかを超音波で観察します。

PCOSの診断基準

日本では、以下の3つの症状のを満たす場合にPCOSと診断されます。

  1. 月経異常
  2. 男性ホルモン(テストステロンなど)の値が高い。または、LH基礎値高値かつFSH基礎値正常。
  3. 超音波検査で卵巣に嚢胞(のうほう)と呼ばれる未成熟な卵胞(卵子とそれを取り囲む細胞による構造)が多数確認できる。

(日本産婦人科学会生殖・内分泌委員会2007)

PCOSの主症状である生理の異常は初めての生理の時から発症し、それが継続的にみられています。

生理の異常として、生理の間隔が38日以上になる女性が44%と頻度が高く、プロゲステロンの分泌が不十分で生理が止まっている女性が35%、排卵障害による生理不順が17%の女性にみられます。

男性ホルモンの分泌が過剰であることも、PCOSの特徴です。

ニキビ、多毛、低声音、陰核肥大などの症状が出ますが、日本人の女性では多毛の程度が軽く、頻度も低いことが知られています。

多毛の指標としてわかりやすいのは、太ももの内側や臍下の発毛です。

PCOSの女性は血中の卵胞刺激ホルモン(FSH)は正常値〜やや低値であり、黄体ホルモン(LH)の値が高いことも知られています。

これは、PCOSの女性の卵巣でみられる多数の小嚢胞から持続的にエストロゲンが不規則に分泌される影響と考えられています。

超音波でも所見が認められます。卵巣の表面側に多数の小卵胞が見られ(ネックレスサイン)、2〜9mmの小卵胞が10個以上存在しています。

PCOSは排卵ができなくなることもあるので、不妊に悩む女性が診断されることが多いですが、妊娠に関係する症状以外にも、多くのことに影響します。

例えば、心臓病、糖尿病、不安障害、うつ病、不眠症、肥満、子宮体がん、軽度の慢性炎症などのリスクが高まることが知られています。

PCOSの治療

PCOSの治療としては、妊娠を希望するのか、しないのかによって治療法が異なってきます。

妊娠の希望がなければ女性ホルモンの分泌量によって使用する薬剤の種類が異なります。

プロゲステロンの分泌が不足しているのであれば、黄体ホルモン製剤を服用(ホルムストローム療法)します。

エストロゲンとプロゲステロンの両方の分泌が不足しているようであれば卵胞ホルモンと黄体ホルモン製剤の両方を服用(カウフマン療法)して消退出血を起こして、生理周期を正常化させます。

低用量ピルの内服により治療をすることも多いです。

妊娠の希望がある場合で、不妊の原因となっている場合は、排卵を誘発する薬剤を使用したり、体外受精による治療や手術で卵巣の小卵胞を焼灼したりする治療法があります。 

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)についてのまとめ

PCOSは、女性のホルモンバランスに影響を与える疾患であり、不妊症やさまざまな健康問題を引き起こすことがあります。

遺伝的要因

PCOSは遺伝的な要因によっても影響を受ける可能性があります。

遺伝的素因がPCOSの発症にどのように寄与しているか、さらなる研究が進行中です。

ライフスタイルの影響

適切な食事、運動、ストレス管理は、PCOSの症状を軽減するのに役立ちます。

最新のガイドラインでは、ライフスタイルの改善が治療戦略の一部として推奨されています。

ホルモン療法

PCOSの治療には、ホルモン療法(低用量ピルなど)が一般的に使用されます。

最新の研究では、ホルモン療法が症状の改善に効果的であることが示されています。

不妊治療

PCOSによる不妊症の治療には、排卵誘発剤や体外受精(IVF)などがあります。

最新の不妊技術と治療法を利用することで、不妊症の問題を克服できる可能性が高まっています。

心血管リスク

PCOSは心血管疾患のリスクを増加させることが知られています。

最新の研究では、心血管リスクを軽減するための予防策が探求されています。

生理が来るのが遅い、生理が3ヶ月以上来ない、長期間生理の出血が止まらないなどの症状があればPCOSかもしれません。

PCOSは不妊症、骨粗鬆症、子宮体癌、メタボリックシンドローム、心血管イベントの発症のリスクが将来的にありますので、月経不順をそのままにしないで、産婦人科を受診して検査をしましょう。

 

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