婦人科系の病気について不安がある方に向けて、トリコモナスとカンジダの違いについて解説いたします。
性器の周辺にかゆみや違和感がある…と感じたときに、考えられるのがトリコモナスとカンジダです。
2つの病気は共通するところが多いので「どちらだろう?」と不安に思われたり、対処に迷われたりする方も少なくありません。
そこで今回の記事では、トリコモナスとカンジダの違いについて症状・原因・感染経路などさまざまな面から解説します。
参考にしていただければ、トリコモナスとカンジダのどちらであるか判断しやすくなるでしょう。
トリコモナスとカンジダの違いとは?
カンジダと間違われがちなトリコモナス。
いずれも性交渉によってうつる可能性がある感染症ですが、やはり違いはあります。
トリコモナスとカンジダの違いについて、症状や原因、感染経路から見ていきましょう。
症状
まずは症状の違いについてご紹介します。
トリコモナス
トリコモナスの場合、下記のような症状が見られます。
【女性の症状[1]】
- ニオイの強いおりものが多く分泌される
- おりものが白色~黄色の泡状になる
- 性器周辺にかゆみがある
- 痛みを感じることがある
- 性交渉時や排尿時の痛み
- 早産になることがある(妊娠時)
【男性の症状[1]】
- 排尿時に痛みがある
- 頻尿になる
- 前立腺炎の原因となる
女性には比較的強く症状が現れますが、中にはなんの症状も現れない例もあります。
おりものの変化やかゆみが見られる点は、カンジダと共通しています。
男性では無症状のケースが多く見られます。
カンジダ
続いてカンジダの症状についてです。
【女性の症状[1]】
- 性器周辺に強いかゆみがある
- おりものが白くなったり固まったりする
- 痛みや熱感など、炎症による症状が現れる
- 性交時に痛みがある
【男性の症状[1]】
- 性器周辺にかゆみが現れる
- 赤く腫れたようになる
- 水泡ができる
カンジダでも女性の方が症状が強く現れ、男性の場合は無症状のことも少なくありません。
トリコモナスと同様、かゆみやおりものの変化、性交時の痛みが見られるようになります。
しかし、おりものが固まるか泡状になるかがトリコモナスとカンジダの違いと言えるでしょう。
カンジダではカッテージチーズのような形状になるため、おりものを観察することで区別しやすくなります。
原因
続いては原因について解説していきます。
トリコモナス
原因となるのは「トリコモナス原虫」と呼ばれる微生物への感染です。
膣・尿道・前立腺などの性器周辺に寄生することで、トリコモナスが発症します。
性器周辺での接触によって感染し、症状が現れることがあります。
カンジダ
カンジダの原因は、「カンジダ菌」と呼ばれる真菌への感染です。
カビの中でも「カンジダ属」と呼ばれる菌に感染することによって起こります。
皮膚や消化管に普通に存在している常在菌ですが、増殖しすぎたときにカンジダ症として発症することがあります。
感染経路
トリコモナスとカンジダは原因菌にも違いがあります。
それではどのように感染するのでしょうか?
感染経路について見てみましょう。
トリコモナス
トリコモナスに罹患する原因は、主に性交渉です[1]。
まれに下着やタオル、お風呂を共有することによって感染することもあります[1]。
性別を問わず体内に細菌が侵入し、炎症を引き起こすことにより症状が現れることが特徴です。
感染しても免疫はつかないため、条件が整えば繰り返し感染する可能性があります[1]。
カンジダ
カンジダは性交渉によって感染することもありますが、感染経路は多岐にわたります[1]。
次のようなことが考えられるでしょう。
【感染経路】
- 免疫力の低下
- タオルの共有
- 性交渉
常在菌の一種であるカンジダ菌は、免疫力の低下によって増殖する場合があります。
もちろんカンジダに感染している方とのタオル共有や性交渉によって感染することもありますが、自己感染する場合もあります。
そのためトリコモナスのように条件が整えば再発することもありますが、トリコモナスよりも再発はしにくいでしょう[1]。
カンジダの原因は特定が難しく、体調不良や免疫力の低下が原因となる場合もあります。
潜伏期間
トリコモナスとカンジダの違いとして、最後に潜伏期間を解説します。
トリコモナス
トリコモナス原虫の潜伏期間は1~3週間です[1]。
感染してから症状が現れるまでの期間が短いため、感染経路を特定しやすいでしょう。
カンジダ
カンジダは常在菌であるため明確な潜伏期間はなく、免疫力が低下した際に症状が現れることがあります[1]。
トリコモナスよりも潜伏期間がわかりにくく、感染経路を特定できないことも珍しくありません。
トリコモナスとカンジダ、放置するとどうなる?
トリコモナスとカンジダを放置した場合のリスクは次のとおりです。
【トリコモナスの場合】
- 自然治癒はしない
- 他人への感染拡大の可能性がある
- 骨盤内炎症性疾患に進展することがある
- 不正出血や発熱、下腹部痛などが現れる
- 不妊や流産の原因となる
【カンジダの場合】
- 完治が難しくなる
- 症状が全身に広がる可能性がある
- 胎児に感染するリスクがある
- 性器周辺に掻破痕ができやすくなる
いずれの病気も放置すれば重症化する可能性があるため、気になる症状がある場合は早めに受診して治療を受けることが重要です。
トリコモナスとカンジダの治療法と予防法
トリコモナスとカンジダにはさまざまな違いがありましたが、いずれも再発のリスクがある病気です。
治療法とともに予防方法について知り、発症・再発を防ぐことが重要となります。
治療方法
軟膏・内服薬・膣錠のいずれかで治療を行います。
トリコモナスであれば内服薬が一般的ですが、カンジダであれば軟膏による処置で快方に向かうこともあるでしょう。
特にカンジダの内服薬は妊娠中の方は服用できないため、軟膏による処置が現実的です。
トリコモナスの治療では抗菌薬を1回服用し、月経が終わった後にトリコモナス原虫が確認できなければ完治となります。
カンジダの場合は1週間ほど軟膏などの処方薬を使用し、医師から完治の確認が取れれば治療完了です。
トリコモナスとカンジダで治療法に多少の違いがありますが、いずれも病院を受診すれば短期間で改善されます。
予防方法
トリコモナスとカンジダの両方を予防するには、次のようなことを心がけてください。
【予防方法】
- 性交渉の際にはコンドームを装着する
- 感染している方とタオルやお風呂の共有をしない
- 免疫力を高められるように生活を整える
まずは生活リズムや食生活を整えて、免疫力を高めることが肝要です。
さらにコンドームを使用すること、タオルやお風呂の共有を控えることを心がければ感染リスクを抑えられるでしょう。
トリコモナスとカンジダの違いを把握することが大切
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、トリコモナスとカンジダの違いについてご理解いただけたと思います。
症状は似ていますが、原因や感染経路は異なるため、その違いを理解しておくことが大切です。
Ladies clinic LOG 原宿では、トリコモナスやカンジダの検査・治療を受けられます。
もし今回の記事で気になる点がございましたら、真摯に対応させていただきますのでぜひお気軽にご相談ください。
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