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「非男性ホルモン型」は
年齢とともに変化する

非男性ホルモン型のPCOSでは一生を通して男性ホルモン(アンドロゲン)が低いわけではなく、 年齢によって劇的に変化することが判明した

アンドロゲン値の年齢別推移
  
  
  
  
  
  正常範囲
〜25歳
思春期〜
25-35歳
安定期
35歳〜
低下期
📈
思春期 〜 約25歳

高アンドロゲン期

非男性ホルモン型のPCOSは実は高アンドロゲン状態からスタート。 従来の「非アンドロゲン高値」という認識は誤りだった。

⚖️
25歳 〜 35歳

正常範囲期

アンドロゲン値は徐々に低下し、 この年代で一時的に正常範囲に落ち着く。

📉
約35歳 〜

低アンドロゲン期

さらに低下を続け、異常な低値に。 この時期の不妊は「少なすぎる」ことが原因の可能性。

💡

臨床的意義

35歳以上で不妊治療を受ける女性は、アンドロゲン過剰ではなく 不足に苦しんでいる可能性があります。 これは診断・治療アプローチを根本から変える発見です。

出典: Gleicher N, et al. Biomedicines. 2022;10(7):1505.
2

60年間の標準治療を超える
新薬の発見

1960年代から使われてきたクロミフェンより、 レトロゾールの方が高い生児獲得率を示す

1960年代〜 従来薬

クロミフェン

クエン酸クロミフェン(CC)

1000人あたりの生児獲得数
214
VS
新世代 アロマターゼ阻害薬

レトロゾール

アロマターゼ阻害薬

1000人あたりの生児獲得数
314
+46.7%
生児獲得率の改善(オッズ比 1.68)
1.68
オッズ比
同等
OHSS発生率
コクラン・レビュー確認済
出典: Legro RS, et al. N Engl J Med. 2014;371(2):119-129. / Weiss NS, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2019.
3

スタチンの逆説的効果
治療のジレンマ

脂質を改善する薬が、PCOSの別の核心的問題を悪化させる可能性がある

改善される点

  • 性ステロイド産生の減少
  • 脂質異常症の改善
  • 慢性炎症の軽減

悪化する点

  • インスリン感受性の低下
  • インスリン抵抗性の悪化
  • 代謝機能への影響
⚠️

治療上の重要な示唆

スタチン療法は「PCOSだから」という理由だけで開始すべきではありません。 個々の患者の心血管リスクを評価し、 インスリン抵抗性への影響も考慮した上で慎重に判断する必要があります。

出典: Puurunen J, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2013;98(12):4798-4807.
4

ファストフードと
PCOSの隠れた関連性

終末糖化産物(AGEs)がPCOS患者の血清中で高値を示し、 食事との直接的なつながりが明らかに

AGEsの発生源

🔬 メイラード反応
+
タンパク質
🟤 褐変

高温調理で生成されるAGEsを多く含む食品:

🍟 揚げ物
🥓 焼肉
🍪 焼き菓子
🍕 ピザ
🌭 加工肉
焙煎コーヒー

体内でのダメージ

1

AGEsの蓄積

食事から摂取されたAGEsが血液中に蓄積

2

組織への沈着

卵巣などの組織にAGEsが沈着

3

細胞損傷

酸化ストレスと炎症を引き起こす

4

PCOS症状の悪化

ホルモンバランスや代謝に影響

 現代の食生活とPCOSの関連

🍔 ファストフード
🟤 高AGEs食品
📈 血中AGEs上昇
⚠️ PCOS病態悪化
出典: Mouanness M, et al. Nutrients. 2022;14(17):3578.
5

PCOSは生まれる前に
始まっているかもしれない

「胎児期起源説」— 母親の胎内環境が 将来のPCOS発症リスクをプログラムする可能性

胎児期

過剰アンドロゲン曝露

胎児が母体内で過剰なアンドロゲンに曝露される。 これが発達中の生殖システムに影響を与える。

🤰
👶
出生時

「プログラミング」完了

ホルモン応答システムや代謝経路が 特定のパターンにプログラムされた状態で誕生。

小児期〜思春期

潜伏期間

症状は顕在化していないが、 プログラムされた素因は存在している。

🧒
👩
成人期

PCOS症状の発現

高アンドロゲン血症、不規則な月経周期、 代謝異常などの症状が顕在化する。

 科学的エビデンス

🐒
サル実験
出生前アンドロゲン曝露でPCOS様症状を確認
🐑
ヒツジ実験
同様の結果を異なる動物モデルで再現
👩‍⚕️
ヒト研究
先天性男性化疾患でPCOS発生率が高い
🧬
将来の可能性
胎児期介入による予防戦略の開発へ
出典: Abbott DH, et al. Am J Primatol. 2009;71(9):776-784. / Xita N, Tsatsoulis A. World J Diabetes. 2015;6(5):612-620.

PCOSの理解が
根本から変わりつつある

これらの発見は、PCOSが単純な「ホルモン異常」ではなく、 年齢、食事、さらには出生前の環境まで関わる 複雑な症候群であることを示しています。 個別化医療の時代、一人ひとりに合った治療戦略が ますます重要になっています。

🎂
年齢で変わる治療戦略
35歳以上はアンドロゲン不足の可能性も考慮
💊
より効果的な選択肢
レトロゾールで生児獲得率が約47%向上
🍽️
食事の化学的性質
カロリーだけでなくAGEsにも注目
🧬
予防医学の可能性
胎児期からの介入で発症予防へ

📚 参考文献

  1. 1 Gleicher N, Darmon S, Patrizio P, Barad DH. Reconsidering the Polycystic Ovary Syndrome (PCOS). Biomedicines. 2022;10(7):1505.
  2. 2 Legro RS, Brzyski RG, Diamond MP, et al. Letrozole versus clomiphene for infertility in the polycystic ovary syndrome. N Engl J Med. 2014;371(2):119-129.
  3. 3 Weiss NS, Kostova E, Nahuis M, et al. Aromatase inhibitors for subfertile women with polycystic ovary syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2019;1(1):CD010290.
  4. 4 Puurunen J, Piltonen T, Puukka K, et al. Statin therapy worsens insulin sensitivity in women with polycystic ovary syndrome (PCOS): a prospective, randomized, double-blind, placebo-controlled study. J Clin Endocrinol Metab. 2013;98(12):4798-4807.
  5. 5 Mouanness M, Nava H, Dagher C, Merhi Z. Contribution of Advanced Glycation End Products to PCOS Key Elements: A Narrative Review. Nutrients. 2022;14(17):3578.
  6. 6 Abbott DH, Tarantal AF, Dumesic DA. Fetal, infant, adolescent and adult phenotypes of polycystic ovary syndrome in prenatally androgenized female rhesus monkeys. Am J Primatol. 2009;71(9):776-784.
  7. 7 Xita N, Tsatsoulis A. Fetal programming of polycystic ovary syndrome. World J Diabetes. 2015;6(5):612-620.