コルポスコピー検査とは?
そもそもコルポスコピー検査とは、どのような検査なのでしょうか? コルポスコピー検査は、コルポスコープという特殊な顕微鏡を用いて、膣・子宮内の組織を詳細に確認する検査です。
最大40倍の倍率で組織を観察できるコルポスコープによって、異常があると疑われる箇所の生体検査を行います。
目視での確認が困難な病変にも気づけるので、異常が発生している組織も早い段階で発見できます。
コルポスコピー検査の対象となる方
扁平上皮系
まずは、扁平上皮系における検査結果から解説します。 扁平上皮系では、以下の6種類の結果が確認できます。 扁平上皮系の検査結果一覧
- NILM(エヌアイエルエム):陰性(異常なし)
- ASC-US(アスカス):軽度上皮内病変の疑いあり
- ASC-H(アスクハイ):上皮内病変の疑いあり
- LSIL(エルシル):軽度異形成の疑いあり
- HSIL(ハイシル):中度から高度の異形成あり
- SCC(エスシーシー):扁平上皮がんの可能性あり
各結果の説明からわかる通り、上記のうち問題なしと判断できるのは“NILM”のみです。
それ以外の結果では、基本的にコルポスコピー検査を受ける必要があります。
ただし結果が“ASC-US”の場合は、コルポスコピー検査の前にHPV検査を受けることになります。
この結果が陰性であれば1年後に改めて子宮頸部細胞診を行い、陽性であればコルポスコピー検査を実施するという流れです。
なお、検査結果がNILMだった場合でも、1年後に再度検診を受けることをおすすめします。
腺細胞系
腺細胞系の検査結果では、以下の通り問題なしといえるものがなく、どれもなんらかの異常が発生していると考えられます。
【腺細胞系の検査結果一覧】
- AGC(エイジーシー):異型腺細胞あり
- AIS(エイアイエス):上皮内腺がんの可能性あり
- Adeno-carcinoma(アデノカルチノーマ):浸潤を伴う腺がんがみられる
- Other malig:ほかのがんがみられる
よって子宮がん検診で上記の結果が出た場合は、種類にかかわらずコルポスコピー検査を受けましょう。
実際に要精密検査と結果が出たらどうすればよい?
検診を受けてNILM以外の結果が出ても、慌てることなく、まずお近くの婦人科外来を受診してください。
医師の診断のもと、その後の適切な診療方針を立てていきましょう。 また理解しておきたいのが、要精密検査と診断されたからといって、必ずがんに罹患しているわけではない、という点です。
子宮頸がんには“前がん状態”とよばれる、まだがんではないものの異常が認められる段階が存在します。
検診ではこの前がん状態も含めて異常と判断されるので、要精密検査となっただけでは、本当にがんに罹患しているかどうかまではわからないのです。
実際、平成30年度に実施された子宮頸がんの精密検査では、受診者全体に対して0.03%しかがんと診断された方がいませんでした。
もちろん、割合が少ないからといって油断してはなりません。
前がん状態は自然に治癒することもありますが、そのまま症状が進行して子宮頸がんになる可能性があるのも事実です。
過度に心配しすぎず、適切な情報をもとに正しく状況を理解することが大切です。
参照元:厚生労働省「令和元年度地域保健・健康増進事業報告の概況」
コルポスコピー検査に関してよくある質問
最後に、コルポスコピー検査に関していただくことの多い質問にお答えしていきます。
「コルポスコピー検査を受けることになったけど、わからないことだらけ……」と不安に思われている方は、ぜひ以下のQ&Aをご参照ください。
Q.コルポスコピー検査を受ける際の注意事項などはありますか?
A.検査の前後でいくつか注意すべき点が存在します。 コルポスコピー検査を実施したあとは、数日間少量の出血を伴う場合があります。
そのため、特に検査後の過ごし方には気をつけなくてはなりません。
コルポスコピー検査を受診する際に注意すべき点
- 月経中の受診は避ける
- 検査後、当日中は入浴を控えてシャワーだけで済ませる
- 検査当日および翌日は、長時間の外出・運動を避ける
- 検査の24時間前、また検査後1週間は性行為を控える
上記のほかには、検査後の出血に備えて生理用ナプキンを用意しておくことも重要です。
なお、出血の量があまりにも多い場合は止血措置が必要になります。 数日経っても多量の血が出る場合は、検査を受けたクリニックへ速やかに相談してください。
Q.コルポスコピー検査は痛みを伴いますか?
A.個人差はあるものの、痛みを感じないという方が多い傾向にあります。
コルポスコピー検査では、異常がみられる箇所を数mm程度切除するため、違和感は覚えるかもしれませんが、耐えられないほどの痛みはほとんど生じません。
そのため、基本的には麻酔も用いらずに検査を行います。
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監修者
院長
清水拓哉
経歴
- 杏林大学医学部卒業
- 筑波大学附属病院初期研修
- けいゆう病院後期研修
- 横浜総合病院などで勤務した後に開業
資格
- 日本産婦人科学会専門医
- 産婦人科内視鏡技術認定医
所属学会
- 日本産婦人科学会
- 日本産婦人科内視鏡学会
- 日本子宮鏡研究会
手術実績(通算)
- 腹腔鏡手術・700件以上
- 開腹手術・150件以上
- 帝王切開・300件以上
- 分娩(経腟分娩)・1000件以上