バルトリン腺膿瘍

バルトリン腺嚢胞とは?

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バルトリン腺とは?その役割を解説

皆さんはバルトリン腺という言葉を聞いたことがありますか?

バルトリン腺は性交の際に膣や外陰部を潤滑にする役割があります。
バルトリン腺はエンドウ豆大の形をしていて、左右それぞれ1つずつ存在する粘液分泌腺です。
別名、大前庭腺とも呼ばれます。大きさは1cmを超えることはなく、普段は触ってもわからないことが多いです。

バルトリン腺は、女性性器の小陰唇の根本の内側に存在しています。
バルトリン腺で産生される液体が、2〜2.5cm程度の管を通って膣の入り口の4時方向と8時方向から粘液が分泌されます。

性的興奮時に薄い乳白色の粘液を分泌します。膣分泌液と混ざり、性交時の潤滑さを促進します。

男性でいうと、尿道球腺(カウパー腺)に相当します。

バルトリン腺から分泌される液体は、匂いはなく無色透明です。
とろとろとした粘り気があり、空気を含むことにより白濁します。

甘い味や苦い味がすると言われており、酸っぱい感じはしませんが、体調によって変化すると言われています。

バルトリン腺の袋は、会陰の比較的浅いところに存在しています。
対して、男性のカウパー腺の袋はそれよりも深い位置に存在します。

バルトリン腺はデンマークの解剖学者、カスパー・バルトリン(Caspar Bartholin the Younger)(1655-1738)が17世紀に初めて記述をしました。
しかし、バルトリン腺の発見者は同名の祖父、カスパー・バルトリン(1585-1629)とされることが多いです。

バルトリン腺嚢胞とはどんな病気?

バルトリン腺嚢胞は、腺開口部の閉塞により分泌液が貯留し、導管が嚢胞状に拡張したものです。

つまり、分泌液の通過に必要な導管が詰まると、管の中にバルトリン腺で産生した分泌液が溜まります。
それにより液体が溜まり、嚢胞が形成されます。

バルトリン腺嚢胞のほとんどは、バルトリン腺自体が腫れるよりも、分泌物の出てくる導管が腫れることで大きくなったものです。

バルトリン腺嚢胞は全ての女性の約2%で発症する可能性があります。

主に、10代〜20代で好発します。
30代以降では、バルトリン腺が退縮し始めるので、新たに発生する可能性が低くなります。

バルトリン腺嚢胞は何科を受診するのか

「バルトリン腺とは?その役割」でも説明した通り、バルトリン腺は女性の外陰部にできる腫瘤性の病変です。

受診するのは「婦人科」、「産婦人科」、「皮膚科」を受診するのが良いでしょう。

外陰部という皮膚の「できもの」であるため、皮膚科を受診する方もいらっしゃいます。
ただ、皮膚科は内診台の用意がないため、患部の様子が見えにくく処置が困難な場合があります。

また、男性の皮膚科医だと婦人科の受診を勧められることもあります。
外陰部の腫れが大きい場合には診察を断られる場合もあります。

婦人科や産婦人科でも処置には対応していないクリニックや、軽い病状の診察のみ可能としているクリニックもあります。

個人で判断するのは難しい部分のため、自分がどの処置をして欲しいのかを事前に考えて、受診する前にクリニックや病院に問い合わせてみるのが良いでしょう。

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バルトリン腺嚢胞の原因、症状、治療法について

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バルトリン腺嚢胞の原因

バルトリン腺嚢胞の原因は、以下のように考えられています。

バルトリン腺炎により、分泌物の通り道である導管が閉塞することで、導管が拡張してバルトリン腺嚢胞となります。バルトリン腺炎の多くは排泄管の炎症です。

最も一般的な原因菌は大腸菌や嫌気性菌です。
他にもブドウ球菌、連鎖球菌、性感染症の原因菌であるクラミジア、淋菌でも起こりえます。

近年ではオーラルセックスによる影響で呼吸器微生物である肺炎球菌やインフルエンザ桿菌も検出されることがあります。

排泄管開口部が炎症により閉鎖することで、バルトリン腺嚢胞、バルトリン腺膿瘍となり腫瘤を形成します。

バルトリン腺嚢胞の症状

腟の入口近くがピンポン球ぐらいのサイズまで腫れることがあります。
しかし、多くの場合は痛みが生じません。外陰部の違和感程度で痛みはなく、バルトリン腺嚢胞が小さい場合には発症に気づかないこともあります。

バルトリン腺嚢胞が大きくなると、歩くときや座っているとき、または性交時に不快感や圧迫感を感じることがあります。

バルトリン腺嚢胞が感染してバルトリン腺膿瘍になると、痛みや腫れ、赤みが生じることがあります。

更にバルトリン腺膿瘍の感染が進行すると、激しい痛みを伴うこともあり、歩くことも困難になります。

このように、最初のバルトリン腺炎の段階、軽症のバルトリン腺嚢胞の段階では気付かない方も多いです。

バルトリン腺膿瘍はバルトリン腺嚢胞の3倍の患者数と言われていますので、バルトリン腺嚢胞の段階で受診する女性は少ないようです。

バルトリン腺嚢胞の治療法

バルトリン腺の治療法は一概ではなく、嚢胞の大きさ、感染して膿瘍になっているか、など病状や症状により治療方法は異なります。

方法としては、抗生剤による保存的な治療、バルトリン腺嚢胞・膿瘍への穿刺、切開排液・排膿、造袋術(開窓術)、嚢胞摘出術があります。

バルトリン腺嚢胞が小さく、無症状で患者様が処置をご希望されない場合には経過観察ですが、症状がある場合には治療をします。

痛みがある場合には、穿刺、切開による排液・排膿が有効で、排膿した内用液で細菌培養検査を行う場合もあります。

細菌感染の可能性もあるため、検査し、抗生物質を服用します。
バルトリン腺を穿刺する場合には18G(外径1.2mm)の針を使用して液体を吸引します。

バルトリン腺の手術にはいくつかの手術があります。

バルトリン腺の手術
  • バルトリン腺膿瘍切開術は、メスを使用して切開排膿する手術です。
  • バルトリン腺嚢胞造袋術は、病変部を切開し嚢胞の端を反転させ、切開部の表皮に縫合する手術です。
  • バルトリン腺嚢胞摘出術は、嚢腫壁をそのまま摘出する手術です。

手術と聞くと、大掛かりで手術室で行うことを想像するかもしれませんが、外来の処置室で行う場合もあります。
ただし、入院の必要がない日帰りで手術を行っている産婦人科もあります。

麻酔は局所麻酔下で手術が可能ですが、痛みに弱い方や、痛みが不安な方は静脈麻酔を使用することもできます。

この手術は、すべての産婦人科で行っているわけではないため、事前にホームページを調べるか、受診を考えている産婦人科クリニックや病院に問い合わせてみると良いでしょう。

当院では、バルトリン腺膿瘍切開術とバルトリン腺嚢胞造袋術を日帰り手術で行っています。

バルトリン腺嚢胞の治療後の経過

手術をせずに穿刺や切開排膿で症状が改善した場合でも、再発する可能性があります。
通常はこの治療法で良くなるのですが、15%の方が再発すると言われています。

再発を繰り返す方は、根本的な治療が必要となるため、バルトリン腺嚢胞造袋術、あるいは、摘出術を行います。

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バルトリン腺嚢胞の自壊、性交渉について

local_offerバルトリン腺嚢胞の自壊、性交渉

バルトリン腺嚢胞の自壊

バルトリン腺嚢胞と検索すると「バルトリン腺嚢胞 自壊」と出てきます。

自壊とは漢字の通り「自ら壊れる」です。

バルトリン腺がピンポン玉サイズに腫れても、病院には行かずそのまま自壊を待つ方も多いようです。

勝手に壊れて膿が出てくれたら病院で痛い思いもしなくて済む!高いお金を払わなくて済む!と思うところではありますが、実際どれぐらいで自壊するのか、自壊したらどうなるのか、自壊したら終了で良いのかをご説明します。

バルトリン腺の自壊までの時間

文字通り「自ら壊れる」のが自壊のため、自壊がいつになるのかは誰にもおかりません。

数日~数週間かかります。なんと中には1カ月以上かかったという方もいらっしゃいます。
市販の漢方薬で自壊の治療をする方もいます。

バルトリン腺が自壊したらどうなるのか

ピンポン玉のサイズまでパンパンに膨れ上がり、膿が突然排出されます。

突然の自壊に備え、生理用ナプキンは必須です。
自壊する直前まで激しい痛みに襲われますが、自壊直後から痛みが急になくなります。

いつ自壊の場面に遭遇するのかわからないため、自壊するまでは旅行や外出は難しそうですね。

また、バルトリン腺嚢胞を安全ピンなどを使用して、自分で自壊させようとする方もいらっしゃいますが、かえって感染を助長したり、失敗することも多いため控えるようにしてください。

バルトリン腺が自壊したら終了なのか

自壊した後は数日間にわたり、膿が排出されます。

膿が排出する出口があるため、そこから細菌が入り、感染症にかかる可能性があります。
自壊しても再発する可能性はあります。

もし万が一自壊してしまい、病院に受診できない場合は、抗生剤入りの外用薬を薬局で購入しましょう。

破裂部位は清潔に保つことが必要となります。

バルトリン腺嚢胞ができても性行為は問題ないのか

痛みが強い時は、性行為をする気持ちになれないとは思いますが、バルトリン腺嚢胞が形成されている時に何らかの性的な行為をした場合には、バルトリン腺嚢胞に細菌感染しやすい状態になり、今度はバルトリン腺膿瘍を形成する可能性もあります。

バルトリン腺嚢胞ができている場合には、性行為は避けてください。

処置や手術を行った方も、性交渉により穿刺や切開傷へ細菌感染の危険があがります。 
医師の許可が下りるまでは必ず性行為を控えてください。

 

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