バルトリン腺嚢胞の原因
バルトリン腺嚢胞の原因は、以下のように考えられています。
バルトリン腺炎により、分泌物の通り道である導管が閉塞することで、導管が拡張してバルトリン腺嚢胞となります。バルトリン腺炎の多くは排泄管の炎症です。
最も一般的な原因菌は大腸菌や嫌気性菌です。
他にもブドウ球菌、連鎖球菌、性感染症の原因菌であるクラミジア、淋菌でも起こりえます。
近年ではオーラルセックスによる影響で呼吸器微生物である肺炎球菌やインフルエンザ桿菌も検出されることがあります。
排泄管開口部が炎症により閉鎖することで、バルトリン腺嚢胞、バルトリン腺膿瘍となり腫瘤を形成します。
バルトリン腺嚢胞の症状
腟の入口近くがピンポン球ぐらいのサイズまで腫れることがあります。
しかし、多くの場合は痛みが生じません。外陰部の違和感程度で痛みはなく、バルトリン腺嚢胞が小さい場合には発症に気づかないこともあります。
バルトリン腺嚢胞が大きくなると、歩くときや座っているとき、または性交時に不快感や圧迫感を感じることがあります。
バルトリン腺嚢胞が感染してバルトリン腺膿瘍になると、痛みや腫れ、赤みが生じることがあります。
更にバルトリン腺膿瘍の感染が進行すると、激しい痛みを伴うこともあり、歩くことも困難になります。
このように、最初のバルトリン腺炎の段階、軽症のバルトリン腺嚢胞の段階では気付かない方も多いです。
バルトリン腺膿瘍はバルトリン腺嚢胞の3倍の患者数と言われていますので、バルトリン腺嚢胞の段階で受診する女性は少ないようです。
バルトリン腺嚢胞の治療法
バルトリン腺の治療法は一概ではなく、嚢胞の大きさ、感染して膿瘍になっているか、など病状や症状により治療方法は異なります。
方法としては、抗生剤による保存的な治療、バルトリン腺嚢胞・膿瘍への穿刺、切開排液・排膿、造袋術(開窓術)、嚢胞摘出術があります。
バルトリン腺嚢胞が小さく、無症状で患者様が処置をご希望されない場合には経過観察ですが、症状がある場合には治療をします。
痛みがある場合には、穿刺、切開による排液・排膿が有効で、排膿した内用液で細菌培養検査を行う場合もあります。
細菌感染の可能性もあるため、検査し、抗生物質を服用します。
バルトリン腺を穿刺する場合には18G(外径1.2mm)の針を使用して液体を吸引します。
バルトリン腺の手術にはいくつかの手術があります。
- バルトリン腺膿瘍切開術は、メスを使用して切開排膿する手術です。
- バルトリン腺嚢胞造袋術は、病変部を切開し嚢胞の端を反転させ、切開部の表皮に縫合する手術です。
- バルトリン腺嚢胞摘出術は、嚢腫壁をそのまま摘出する手術です。
手術と聞くと、大掛かりで手術室で行うことを想像するかもしれませんが、外来の処置室で行う場合もあります。
ただし、入院の必要がない日帰りで手術を行っている産婦人科もあります。
麻酔は局所麻酔下で手術が可能ですが、痛みに弱い方や、痛みが不安な方は静脈麻酔を使用することもできます。
この手術は、すべての産婦人科で行っているわけではないため、事前にホームページを調べるか、受診を考えている産婦人科クリニックや病院に問い合わせてみると良いでしょう。
当院では、バルトリン腺膿瘍切開術とバルトリン腺嚢胞造袋術を日帰り手術で行っています。