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ASC-USとは?ASC-USの原因や子宮頸がんとの関連について

女性特有の病気や不妊に不安を抱いている方に向けて、ASC-USとはどのようなものか解説します。

「ASC-US」はストレスによって引き起こされる場合があり、子宮頸がんの原因になることもある身体の組織の変異のことです。
必ずしもがんだと言えるわけではありませんし、ASC-USは比較的よくある診断です。しかしやはり不安ではあるでしょう。

そこで今回の記事では、ASC-USとはどのようなものか、判断された後の検査方法も含めて解説していきます。
参考にしていただければ、ASC-USについての基礎知識が身につくはずです。

ASC-USとは?

ASC-USとは、身体の組織が軽く変異した状態のことです。
がんではなく、あくまでも軽い変異が見られるだけで、良性である可能性もあります。
つまり変異が見られるものの、検査をしないと悪性か良性かの判別ができない状態を指します。

その後、より詳しく検査をしたところ、中等度異形成以上の病変が見つかるのは約10~20%だと報告されました。

出典:広島市医師会:(PDF)細胞診 報告について(婦人科編)

そのためASC-USとは発症原因を詳しく知るために、精密検査をしなければならないものです。
しかしASC-USとされてもがんが見つからないことも多いでしょう。
ただし稀にがんだとされることもあります。

ASC-USとストレスは関連性がないとされています。しかしストレスが原因で免疫力が低下することはあるでしょう。
そのためリスクが高いと判断されたら、ストレスを軽減するよう努力することも必要かもしれません。

子宮頸がん細胞診の分類

それでは子宮頸がんの細胞診の分類についてご紹介します。
子宮頸部などをこすって細胞を採取し、検査ではがんの疑いのレベルをはかる細胞診を実施します。

検診の結果は次のように提示されるので、念のために知っておきましょう。

 

ベセスダ分類

クラス分類

概要

扁平上皮系

NILM

Class I

Class II

異常なし、炎症あり、要定期検診

ASC-US

Class II

Class IIIa

軽度異形成の疑いあり、要HPV検査もしくは細胞診再検

ASC-H

Class IIIa

Class IIIb

高度異形成の疑いあり、要コルポもしくは生検

LSIL

Class IIIa

軽度異形成、HPV感染、要コルポもしくは生検

HSIL

Class IIIa

Class IIIb

Class IV

中等度異形成、高度異形成、上皮内がん、要コルポもしくは生検

SCC

Class V

扁平上皮がん、要コルポもしくは生検

腺細胞系

AGC

Class III

腺異型もしくは腺がんの疑い、要コルポ、生検、頸管、内膜細胞診、組織診

AIS

Class IV

上皮内腺がん、要コルポ、生検、頸管、内膜細胞診、組織診

Adenocarcinoma

Class V

腺がん、要コルポ、生検、頸管、内膜細胞診、組織診

other malig

Class V

その他の悪性腫瘍、要病変検索検査

ASC-USとHPV感染の関係

HPVに感染していると、軽度異形成に進行しやすくなります。そのまま消滅することも珍しくありません。
しかし2年以上に渡って感染が持続している場合、中等度異形成や高度異形成になることもあるでしょう。

しかしHPVに感染していてもがんになるとは限りません。
ASC-USの段階であれば異形変化が少ないと判断され、あくまでも「異形成の疑い」です。
ただしASC-USであった場合にはがんのリスクが高くなります。そのためハイリスク検査が行われ、感染状況を調べた後、その後の検査や検診が求められることもあるでしょう。

ASC-USとHPV感染には絶対的な関係があるわけではありません。
しかしHPV感染のリスクが高くなったり、軽度異形成に進行しやすくなったりするリスクがあります。

【関連ページ】
HPVについて
子宮頸部異形成について

ASC-USと診断された際に行う検査

それではASC-USと診断された際には、どのような検査が行われるのでしょうか?
主な3つの検査についてみていきましょう。

検査1:コルポスコープ

「コルポスコープ検査」とは、拡大鏡を使用して子宮頸部を観察する検査のことです。
リスクが高いと判断された方が受けるよくある検診のことで、膣内や頸部を詳細に観察するために行われます。
コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を用いて、異常がないか確認するために行われる検査です。

ただしコルポスコープ検査は、HPV陰性であれば実施する必要のない検査です。そのため検査の種類を増やさないように、代わりにHPV検査を行う病院もあるでしょう。
検査の際には痛みや出血が見られることもあります。そのため不必要な検査をしない意向によって、実施されないことも珍しくありません。

検査2:頸部組織診

HPV感染が認められた場合は、「頸部組織診」を行うこともあります。
頸部組織診は「コルポスコピー検査」とも呼ばれており、子宮頸部がんの疑いがある場合に行われるものです。

子宮頸部の細胞を少しだけ採取して診断をします。採取する組織は数ミリ単位で、それほど痛みもありません。お酢で加工を行う際に多少しみることがありますが、加工は約30秒ほどで完了します。頸部の写真撮影とともに診断を行い、子宮頸部がんの可能性も判断する検査です。

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検査3:HPVタイピング検査

がんになりやすいタイプへのHPV感染を判定するのが「HPVタイピング検査」です。
感染しているウイルスのタイプによっては、がんへと発展するリスクが高くなることもあります。
そのためHPVタイピング検査で、どのような管理をしていくべきかを判断するための検査です。

HPVには13種類のがんになりやすいタイプが存在しています。そしてタイプによってがんへと発展するリスクが異なるために管理が必要です。
検査の結果を考慮しながら、フォローアップや検査のやり方を検討するために実施されます。

検査ではほとんど痛みや苦痛がなく、短い時間で完了するのがメリットです。検査方法は頸部細胞診とほぼ変わりません。

子宮頸がんの進行期別の特徴

子宮頸がんはその他のがんと同じように、進行期によって症状などの特徴が変わります。
進行の段階は0期からIV期までがあるため、それぞれの進行期ごとの特徴について知っておきましょう。

0期

上皮内がんと呼ばれる初期のがんです。
初期段階であるためレーザー治療も可能ですが、その他、単純子宮全摘術や子宮頸部円錐切除術によって治療が行われることもあります。

Ⅰ期

I期は子宮頸部にだけ浸潤しているがんのことを指します。0期では粘膜を破っていませんが、I期では粘膜から基底膜を破って広がっている状態です。

しかし湿潤が深くない場合には円錐切除術も可能。少し深くなっている状態であれば、単純子宮全摘術や広汎子宮全摘術が採用されることもあるでしょう。

Ⅱ期

II期ではがんの湿潤が骨盤内にまで広がります。
しかし膣の上のほうにまでは広がっていない状態であり、治療は主に手術にて病巣部を切除します。
子宮頸部を越えて湿潤しているため、膣の一部を切除するケースも少なくありません。

Ⅲ期

がんが骨盤の壁と膣の上のほうにまで達するがんとなるとIII期とされます。
レーザー治療や手術ではなく、放射線療法が実施されることが主です。
化学療法も併用されるかもしれません。化学療法は再発防止に役立ちます。

Ⅳ期

IV期は膣や骨盤だけでなく、膀胱や直腸まで湿潤した状態のことを指します。その他の臓器に転移することもあるでしょう。
放射線療法が行われることがほとんどであり、III期のように再発防止のために化学療法を行うこともあります。

【関連する治療についてのページ】

ASC-USと判断されたら子宮頸がんにも注意して

いかがでしたでしょうか?この記事を読んでいただくことで、ASC-USとはどのようなものか、原因や子宮頸がんとの関連性がご理解いただけたと思います。

リスクが高いと判断されても、子宮頸がんである可能性は決して高くはありません。
しかしASC-USとはストレスが発症原因である場合もあるため、生活習慣を見直されることをおすすめします

Ladies clinic LOG 原宿では女性の健康と未来を守るため、さまざまなご相談に対応しています。
子宮頸がんへの不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者

院長

清水拓哉

経歴

  • 杏林大学医学部卒業
  • 筑波大学附属病院初期研修
  • けいゆう病院後期研修
  • 横浜総合病院などで勤務した後に開業

資格

  • 日本産婦人科学会専門医
  • 産婦人科内視鏡技術認定医

所属学会

  • 日本産婦人科学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会
  • 日本子宮鏡研究会

手術実績(通算)

  • 腹腔鏡手術・700件以上
  • 開腹手術・150件以上
  • 帝王切開・300件以上
  • 分娩(経腟分娩)・1000件以上
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